中公文庫
2011-08-21 読了 (2回目?)
新選組始末記につづく、子母澤寛の小説というか記録集。というのも、なるべく元記録を忠実に記録する意図からか、書簡などは純粋な漢文や返り点つき漢文、かな混じり文などのままの資料がたくさん掲載されている。また伊東甲子太郎の歌集なども掲載されている。ただそのような文を読み慣れない私のようなものはやや辛い。
逆にこの巻で特徴的なのは、全体の1/3近くを占める、八木為三郎氏の聞きとり録。氏は新選組となる浪士達に最初の宿所を提供した八木家の子供だった方。章としては「壬生屋敷」「池田屋斬込前後」の2つ。芹沢鴨の暗殺の時には、氏が寝ていた部屋に芹沢が倒れこんで最後をむかえた、そして氏も軽い切り傷を負った、とか凄まじい話が多い。一方で、厳粛な隊規の印象とは異なり、隊士達と日常的に親しく接していたなど、非常に興味深い。
それにしても新選組が活躍した期間は実質5年間くらいで、この間に「幕末」が濃縮されているが、機が熟せば5年間で一気に政体がひっくり返ってしまうということも驚きだ。
現代のどこかの政党は「平成の維新」などと格好をつけていたが、この交通・情報伝達手段の発達した現代において、一向に、何かが改善されたという感じがしないのも、すごい話だ。そろそろ「仮免」は卒業しただろうか。
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