2009-01-31

国境の植民地・樺太, 三木理史

塙書房
図書館
2009-01-31 読了

「樺太」(日本統治時代のサハリン南部) の歴史。しかし「歴史」は人がつくるということが良く分かる本。政府の政策の元に民間資本が投資し、産業が生まれ人も増えていく。当時建設された鉄道の一部はいまでも使われているようだ。著者の体験談などエッセイ的な部分がところどころに入るのも読みやすさを助けている。
  • 製紙業で栄える (王子製紙, 三井資本 etc.)
  • 炭鉱
  • 朝鮮人が多い (サハリン棄民という言葉があるらしい)
  • 戦争末期はロシア参戦の最前線

2009-01-25

ワーキングプア 解決への道, NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班

ポプラ社
図書館
2009-01-25 読了

ワーキングプア 日本を蝕む病」の続編。韓国, 米国, 英国, 日本でのワーキングプアの事例と、解決に向けた取り組みのいくつかを紹介。前編では事例の紹介しかなかったので非常に重い読後感だったが、こちらはむしろ安心感が得られるかもしれない。しかし、当然ながら、ここで紹介されている、好転しつつある事例は、問題全体からすれば、ごく、ごく一部に過ぎないので、これでハッピーエンドとはならない。多くの人の努力とそれを支えるためのお金が必要。

徒然と思うことは、安売りを目玉にした小売業 (スーパー, ディスカウントショップ, 電器店, アウトレット, etc.) がこれだけはやっているということは、当然、そこで売られているものを作っている人や流通にかかわる人、売っている人の人件費も安いだろうし、かつ、安い製品を求める消費者が大勢いるということ。選挙だけでなく、こういう各個人の日々の消費行動の選択も、問題に関係している。

「おわりに」に、テレビ番組ではカットされた人の話が出てくるが、
「田老製作所」の社長のように、放送に至らなかった人も数多くいる。私たちが長年見過ごしてきた現実を、身をもって気づかせてくれた方々に、本著の最後に、心から感謝の気持ちを伝えたいと思う。
という文だけで、取材に協力してくれた人たちへの謝辞のつもりなのだろうか。時間の限られたテレビではなく本なのだから、少なくとも協力者の名前を挙げて謝辞を記載するのは当然なのではないだろうか (もちろん本人の意志は尊重されるべきだが)。

以下、メモ:
  • 賃金労働者に占める非正規雇用の割合 (2006年) は日本が 33% に対し、韓国では 55%

2009-01-24

実は悲惨な公務員, 山本直治

光文社新書
図書館
2009-01-24 読了

とかく「0か1か」という単純な構図でバッシングされることの多いお役所の内情を、ややお役所の都合に偏りぎみではあるが、冷静に紹介している。著者言うところの (北風と太陽の)「太陽的バッシング」が良いのかどうかは分からないが、たしかに、良くありがちな、一過的な「北風的バッシング」を繰り返しても良い方向へは行かないだろう。

法律を作れるのは代議員だけであり、その代議員を選んでいるのは有権者。現状のお役所の姿は過去・現在の有権者の選択の結果とも言える。そういう意味でも、飲み屋での愚痴話のように、バッシングでなにかが変わることは期待薄で、冷静・現実的・建設的な意見・意識が求められるのだろう。

そのような記事では、新聞や週刊誌は売れないかもしれないが。

2009-01-12

ワーキングプア 日本を蝕む病, NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班

ポプラ社
2009-01-12 読了

現代日本の縮図。とにかく事例の紹介に終始し、解決策の提言はないが、副題の「日本を蝕む病」どおりの恐しい現実が進行していることがわかる。すべての政治家に知ってもらいたい。

大きな流れで見ると、戦後および高度成長期の状勢にあわせてできてきた日本の政治・官僚・産業などさまざまなシステムが、現状との不整合を起こしているにもかかわらず、様々なしがらみのために遅々として変更できないという構図が、ミクロにもマクロにも現れてきているのではないか。例えば、多くの製造業が、人件費の削減のため、中国などに拠点を移しているので、それらの企業で働くためには、かなりの割合の人がその海外拠点へ行かなければ仕事がないことになる。しかし多くの人は様々な理由により、おいそれとは海外に働きに出られないので仕事からあぶれてしまう。では国内の新しい産業が労働者を受け入れるかといえば、ライブドアに象徴されるように「出る杭は打たれる」状況で、なかなか進まない。

とにかく他人事でない。職業選択も、投資のように将来の状勢の変化を予測して行う必要があるということだろう。今のような、健全な労働者市場のない日本の状況では、ひとたび職を失うと、再就職は非常に困難で、そこから「負のスパイラル」に落ち込んでしまう。

このような問題に関連して、ベーシックインカムという考えに最近惹かれている。山崎元氏がblogで紹介しているのがわかりやすい (1, 2)。金額の多寡はわからないが、ある程度の生活の保証があれば、起業などもやりやすいだろう (借金を苦にした自殺などが減るだろう)。

だがこのようなドラスティックな変化はたぶん導入されないだろう。社会保険庁・厚生労働省・地方自治体等の少なくない仕事が必要なくなるので。郵政民営化ですら、小泉氏が総理大臣になる前から言っていて、あれだけ大騒ぎしてようやく実施されたのに、まだ見直そうとする勢力があるように、この国で何かを変えようとすると、既得権益をもつ勢力が強大で、非常に難しい。私は自分が死ぬまでに、おそらく年金などの改革はほとんど進んでいないのではないかと思っている。このように将来に希望を持てない人が大勢いるのではないか。そのため政治にも関心が持てないので、選挙の投票率も年々下がってきているのだろう。

不思議なのは、どの報道機関の世論調査でも、首相が変わるたびに、それなりに支持率が上昇することだ。本質は殆ど変わっていないのに。

と、かなり本筋から脱線してしまった。

岐阜の縫製業経営者のコメントが印象に残った:
まさか、国産を中国人がつくるようになるとは思わなかったね。

2009-01-11

太陽の欠片 月の雫, 大西隆博

文芸社
2009-01-11 読了

小説としてはやや物足りなさも感じるが、作者の主張ははっきりしている。学校の先生はとても大変な仕事だと再認識できる。

理想を言えば、子供の初等教育には、小・中学校以外の選択肢もあっていいと思うが。

2009-01-07

バルト三国をボルボで走る, 笹目二朗

エイ出版社
2009-01-07 読了

これは自費出版だろうか?
紀行文というと、その土地の風景・文化・人々の生活・それらから考えたことなどの文章を期待するが、そのようなものはほとんどなく、ひたすら日記調の記述と車の燃費・SEVというチューニングパーツ(?)の効果の話が続く。現地通貨のコインがないから駐車場や有料道路を避けるとか、どうでもよい話ばかりで、まともなルートマップもなく、泊まったホテルの名前も書いていないことが多い。
  • 本のタイトルが詐欺的。バルト三国の部分の日記は半分もない。20日超の行程中たった4日!
  • モータージャーナリスト、元自動車メーカー技術者がマイナスイオンとは...