2021-12-19

読書の価値, 森博嗣

2021-12-19 読了(図書館)
NHK出版新書

さすがに、独特な読書論が語られていて面白い。著者のファンには、若いころの読書にまつわる記述が興味深い。

  • 読む本は自分で選べ(他人に勧められたものではなく)
  • 新たな発想のためには、さまざまなジャンルの本をランダムに選ぶ
  • 読書感想文は必要か
  • 文芸評論は必要か

中でも、現代ではインターネットやスマートフォンなどの普及で、知識を得るために本を読むという意味合いは薄れているが、自分で読んで得た知識によって自分が思考するので、そのために読書が必要、という部分には非常に納得がいく。これはそのまま勉強にも当てはまるだろう。

そうはいっても、本をランダムに選んで読む、というのは、なかなかまねがしにくい。著者は、格闘系の雑誌まで読んだことがあるらしいが。

まあしかし、本を選ぶのに便利な場所と言えば、図書館だ。近所の少々大きな本屋に行っても、雑誌や文庫は充実しているが、専門書などは皆無のところが多い。図書館も専門書が充実しているとはいいがたいが、一般向けに書かれた数学や科学の本は結構ある。自分は人文科学とか社会科学までなかなか興味が及ばないが、ランダムとはいかないまでも、タイトルを見て惹かれる本とかあるだろうから、今度挑戦してみようか。

2021-12-02

A View From The Top Of The World, Dream Theater

2021-11-13 購入

前作から約2年ぶりの新作。最近(のベテランバンド)にしては割とみじかいインターバルではないか。また新作が聴けてとてもうれしい。

前作も良かったが、今作はさらに良いと思う。前作はいくつかあまり良いと思わない曲が含まれていたが、今作はそれがない。長尺の曲が増えたおかげでアルバムの曲数が減っているのも影響しているかもしれないが、どの曲も私好みのメロディーが含まれ、かつ、緊張感のあるインストルメンタル・パートもあり、聴きごたえがある。どの曲も良く練られており、実際の曲の長さの割にはそれを感じさせない。一枚をすぐに聴き終わってしまう感じで、また最初から聴きたくなる。

自分は、以前は、「Metropolis Pt. 2: Scenes From A Memory」みたいなコンセプトアルバムとか、「The Astonishing」「Six Degrees Of Inner Turbulence」のような複数枚組の長尺アルバムとかを好ましく思うこともあったが、たぶん自分が年を取ったせいもあり、今作のようにコンパクトな(といっても70分を超えているが..)アルバムも良いと感じる。

それにしてもレコード会社は(アーティストも?)、BD付きとか LP とか、いったい何種類の商品を作るのかと思うくらい、いろいろと発売しているようだ。このストリーミングやダウンロード全盛の時代にあって、どれだけの人が物理的な音楽メディアを購入するのか興味がある。ちなみに私は、曲データのダウンロード販売とかは、とても永続的とは思えないので(私企業がデータを管理していたり、あまりオープンとは言えないデータフォーマットであったり、うっかりミスでファイルを消してしまったり、等々)、CDのようなモノがないと心配になる。

2021-10-30

亜玖夢博士の経済入門, 橘玲

2021-10-30 (2回目) 読了 (図書館)
文藝春秋

以前も読んだはずだが、とくに最後の方はほとんど覚えていなかった。

それはともかく、本のタイトルは「経済入門」となっているが、扱われている話題は「多重債務」「利権争い」「いじめ」「マルチ商法」「自分探し」で、経済? と思わないでもないが、さらにそれらで扱われている科学的な内容としては「行動経済学」「ゲーム理論」「ネットワーク理論(ワッツ、ストロガッツ)」「社会心理学」「ゲーデルの不完全性定理」と、経済の範疇を超えているように思える。

もちろん、この本を読んだだけでそれらの先端科学を理解できるわけではないが、どのような内容なのか雰囲気に触れることはできる(かもしれない)。

もっとも、そのような科学に興味が無くても、連続短編小説としてよくできていて、非常に面白い。

2021-10-03

ダブルマリッジ, 橘玲

文藝春秋
2021-10-03 読了(図書館)

この作家の小説は、「金融小説」とでもいうのかわからないが、オフショアやプライベートバンク、というキーワードで代表されるような、裏技的な節税手法や資産の海外移動などが題材になっていたが、この本は戸籍(国籍)がテーマ。

帯叩きには「知らぬ間に、妻とは別の女が戸籍に入っていた!」とあり、それがある意味、合法的になされるということで、「裏技的」ではあるが、それはまあスパイスというか前振りというか。それだけで引っ張るわけでなく、その種明かしは割と早い段階でなされる。

出版社のサイトには「ジャンル:エンタメ・ミステリ」とあったが、ミステリなのかな。ストーリーの先が気になる、という意味では立派なミステリかもしれない。読み始めたら一気に読み終えてしまった。

フィリピンが(も)舞台。

「相続時精算課税(の特例)」とか、ぽろっと税に関する豆知識が出てくる。小説を読んだだけだと、親が自分の子に2500万円まで非課税で贈与できるというように書かれていた気がするが、あとでネットで調べてみると、どうやら贈与の時点では非課税だが、その親が亡くなったとき相続税の計算対象には含まれるらしい。私の理解だと、不正確かもしれないが、生前にまとまった金額の相続をしておく、という意味合いのようだ。相続税が逃れられるわけではない。

2021-09-26

王城の護衛者, 司馬遼太郎

講談社文庫
2021-09-26 読了(図書館)

幕末の人物を取り上げた短編集。

  • 王城の護衛者: 松平容保
  • 加茂の水: 玉松操
  • 鬼謀の人: 村田蔵六(大村益次郎)
  • 英雄児: 河井継之助
  • 人斬り以蔵: 岡田以蔵

玉松操という人はこの本で初めて知った。 松平容保は幕末・新選組といったキーワードで名前は知っているが、その人が主人公の話は初めて読んだ。 村田蔵六は長編小説「花神」でおなじみ。 「英雄児」は別の短編集「馬上少年過ぐ」に掲載されていたはず。 岡田以蔵は読んだことあるような気もしたが気のせいか。「竜馬がゆく」などにも名前が出てきたはず。

2021-09-12

桶狭間の四人 光秀の逆転, 鈴木輝一郎

2021-09-12 読了(図書館)
毎日新聞出版

なぜか桶狭間の戦いに明智光秀も参加している(ただし、正式に織田家に仕官していたわけではない)というストーリー。なんというか、歴史小説ではあるが、そういう奇抜な設定や、あまりおもしろくないユーモアがあったり。よく言えば新機軸を打ち出している、悪く言えば、奇をてらっている。誰もが結末を知っている桶狭間の戦いに向かっていくので、そのストーリーで読み進めることができるが、かといって面白いかと言われれば、私には合わない感じだった。

2021-08-22

数学ガールの秘密ノート 行列が描くもの, 結城浩

2021-08-22 読了(図書館)
SBクリエイティブ

相変わらず、たいへん分かりやすく、かつ、数学に親しみやすく書かれていて、これだけ数式など出てくるにもかかわらず、数学の本としては驚異的に読みやすい。

「秘密ノート」シリーズの方は、比較的レベルを抑えて、基礎的事項やそのイメージをつかむことを目的にしているように見受けられる。 その目的はおそらくうまく達せられている。図が多用されているのも、理解の助けに大いに役立っている。特に、いわゆる一次変換による2次元平面上での座標の移動(変換、投影)は素晴らしい。行列式の値との関連も図で説明されている。

2021-08-16

一度は行きたい日本の美城, かみゆ歴史編集部(編)

2021-08-16 読了(図書館)
学研

オールカラーで写真を見るだけでも楽しめる。旅行ガイドブック的でもある。しかしそれだけにとどまらず、コラム欄には個人的に知りたかった「破風」や「石垣」の種類などの解説が簡潔になされていてよかった。

  • 切妻破風
  • 入母屋破風
  • 千鳥破風
  • 唐破風

香川の高松城(玉藻城)や丸亀城にも、重要文化財に指定されている櫓など(丸亀城は現存天守)があるということで、今度機会があれば行ってみたい。

2021-08-15

図解城のすべて, 鈴木亨(監修), PHP研究所(編)

2021-08-15 読了(図書館)
PHP研究所

1995年発行とやや古い本だが、城の時代時代による変遷を、弥生時代の集落とかから解説。現在我々が「城」と聞いて思い浮かべる豪華な天守は戦国時代にはほとんどなく、多くは江戸時代に大名の権威を知らしめる目的などのために作られた、という。

個人的に知りたかった破風や石垣の種類についてはあまり書かれていなかったが、縄張(なわばり)、曲輪(くるわ)、本丸、などの説明が楽しい。また、堀の断面形状にも種類があるというのには驚いた(水を抜いた時の底面が平面のものだけでなく、半円形のもの(毛抜堀)や円弧が重なって角状の溝になっているもの(薬研堀)などがある)。

名城40 として、全国の城の中からおすすめの40か所の見どころが挙げられている。もちろん天守がある城ばかりでなく、一乗谷のように遺跡といったほうがよさそうなところも含まれている。

2021-07-18

数学ガールの秘密ノート 微分を追いかけて, 結城浩

2021-07-18 読了 (図書館)
SBクリエイティブ (2015)

「数学ガールの秘密ノート」シリーズ。「数学ガール」シリーズよりは、やや平易な内容というか題材を選んでいるように感じる。「数学ガール」シリーズ(といっても2冊しか読んでいないが)も式の展開は非常に丁寧で、1つ1つ追っていけば理解できるのはこの本も同じ。微分という概念を分かりやすく導入している。

そうはいってもそれだけでは終わらず、「パスカルの三角形」とか二項定理とか、ネイピア数 (e) とかが表れ、それらが関連していて面白い。

2021-07-11

とんでもなく役に立つ数学, 西成活裕

2021年7月11日読了 (図書館)
朝日出版社 (2011)

高校生への講義の記録。現実世界のさまざまな問題解決に、数学を用いるということを、実例を示しながら解きほぐしてくれる。

西成先生は「渋滞学」で有名だが、そのエッセンスもわかる。もっとも渋滞の問題に関してはまさに「渋滞学」を読んだほうが良い。ここで扱われているのは、東京マラソンのように大勢のランナーが出場するマラソン大会があるとして、出場者全員がスタート地点を短い時間で通過するためにはどうすればよいか、という問題を、その本質を抜き出す単純化・理想化と、そこで働くメカニズム(前の人が動かないと自分が動けない、前に動いたという情報が後ろに波のようにある速度で伝わっていく、など)を数式で表し、それを解く作業。もう少し解説があった方が分かりやすいとも思うが、とにもかくにも、現実の問題を、数理を使って最適化できるという、その一連のながれを体験することができる。

高校生くらいの時にこのような講義を体験するのは、非常に良い経験になると思う。一方で、講義をする方は、準備や教える力など、相当大変な感じ。

2021-06-20

海馬, 池谷裕二, 糸井重里


新潮文庫
2021-06-20 読了

キーワードは「可塑性」。
脳の神経細胞は年を取るごとにどんどん減っていくと言われるが、だからといって能力が衰えるわけではなく、「あるものとあるものとのあいだにつながりを感じる能力」は30歳を超えた時から飛躍的に伸びる、という話は生きる気力がわくし、まだまだ勉強しようという気にもなるし、とにかく非常に素晴らしい。

脳の性質を知ることで、ちょっとした生活・仕事のハウツー的な知識も得られる。以下、ほぼ引用。

  • 人間が整理できる記憶は7つくらい
  • タクシードライバーの海馬の大きさは、その勤務月数と正の相関がある 新しい刺激にさらされることが重要
  • 脳に逆らうことがクリエイティブ: 創造的なことをしたいと思っている人は、画一的な見方をしたがる脳に対して、挑戦をしていかなければなりません
  • やりはじめないと、やる気は出ない: やる気を生み出す場所は脳の側坐核にあり、そこの神経細胞が活動すればやる気が出るという仕組みです。刺激が与えられると活動する場所なので、「やる気がない場合でも、やりはじめるしかない」のです。
  • 寝ることで記憶が整理される
  • 生命の危機が脳をはたらかせる: 扁桃体や海馬をいちばん活躍させる状況は、生命の危機状況です。ちょっと部屋を寒くするとか、お腹をちょっと空かせるという状態は、脳を余計に動かします。
  • センスは学べる: 人間の認識は感性も含めて記憶の組み合わせ。創造性も記憶力からくる、と言える。新しい認識を受け入れてネットワークを密にしていくことが、クリエイティブな仕事というものに近づいていくヒントになる。ひとつ認識のパターンが増えると、組み合わせの増え方は、統計学的には莫大な数になる。
  • 問題はひとつづつ解こう: 脳は達成感を快楽として蓄える。達成感を生むためには、小さい目標を設定して、ひとつずつ解決していくといいのでは。

  • 心は脳が活動している状態を指す
  • 人間の本質は「変化」
  • 脳がコンピュータと決定的に異なる点は、外界に反応しながら変容する自発性にある

文庫版の追加対談にもドキッとすることが書かれていた。

 糸井: ほんとうにすべての可能性を考えながら生きていたら、きっと発狂しちゃいますよね。だから「わかっている範囲」を中心に暮らしているわけですけど、世界が「わかっている範囲」でしかないと思うのは、やはり傲慢だと思うんです。 

池谷: それはまさに科学者が忘れてはいけないことのひとつです。(中略)どんなものでもそうなのですが、システムは階層的になっていて、その階層ごとに真実があって、しかもそれが相互に影響を与えているんです...

2021-05-15

親方はつらいよ, 高砂浦五郎

2021-05-15 読了(図書館)
文春新書

先代高砂親方・元大関朝潮の「親方論」(?)

2008年7月の発行。朝青龍が不祥事で2場所出場停止処分をうけた年の次の年。まだバリバリの現役横綱だったころ。その不祥事の記憶がまだ新しいころに書かれた。そのせいかどうか、一章は朝青龍の写真とその騒動の話からはじまる。当時、マスメディアなどでは朝青龍だけでなくその師匠の著者もさんざん叩かれたが、叩かれた側の事情・言い分もわからないではない。朝青龍は治療などのため巡業を休んでモンゴルに帰国していたが、地元では当然ながら有名人で、

「日本の外務省を通じてモンゴル政府からの要請があり、友好のためにやった」
「当初はイベントでTシャツを配るだけの予定だったが、周囲に乗せられ痛みを押してほんの短時間サッカーをやった」

ということのようだ。そういわれると、そこまで厳しい処分を受けることだろうか、という気がする。そもそも巡業をけがの治療で休んだのは正当だろう。いまはコロナ禍で巡業どころでないし、個人的には巡業は日本相撲協会としての収益事業で、それが力士の仕事と言われればそれまでだが、年6日(90日間)ある本場所が終わったとたんに、毎日長距離移動をともなう巡業にでなければならないとなると、休む間もなく気の毒に思っていた。

親方論というか弟子の指導に当たっての考え方は興味深い。相撲の親方だけでなく、後輩や部下などの指導・教育は、手取り足取りやればよいかと言えば、自分で考える力が養えないし、さりとて放任でよいかといえば、素質があっても伸びない可能性があり、正解はなく、その加減も難しい。この本でも、相手の素質や性格などによって指導法を変える、というようなことが書かれていた。

3章では、2007年の時津風部屋新弟子急死事件の話から始まり、「角界の流儀」が語られる。ここの話の一部については同意できない。ほかの箇所では、時代によって弟子の気質などが変わってきているので、昔ながらの部屋の雰囲気や稽古内容ではだめで変えていかなければならない、というような真っ当なことを書いているのに、この部分では、この事件で協会理事長の責任を問うような報道などに対して、協会や相撲部屋の組織の説明をするだけで、その組織構造の問題が問われているという自覚が無いようだ。

私は、相撲という伝統的な競技が好きだし、その伝統も大切だと思っているが、それと法人としての日本相撲協会やそれにぶら下がっている相撲部屋という組織の伝統は別問題だと考えている。貴闘力が自身の YouTube 番組で指摘している通り、その組織には非常に問題が多く、「年寄株」「お茶屋」「八百長」などの例を挙げるまでもなく、改善すべきと思う。相撲部屋にいったん入門したら力士の都合では部屋を変われないなんて、親方の都合でしかない。相撲部屋という制度も特に必要とは思わない。

そんな朝潮さんも定年で師匠としては引退された。人柄がよく出ている本だった。

2021-05-08

数学ガール 乱択アルゴリズム, 結城浩

ソフトバンククリエイティブ
2021-05-08 読了 (図書館)

タイトルからは、乱数を生成するアルゴリズムについてかな、と漠然と思っていたら全然違った。乱数を使ったアルゴリズム(自信なし)という感じか。 主たる内容は、ソートのアルゴリズムの解析で、その実行回数の期待値を数式で表したり。かなり式変形も出てくるが、途中を省略せず解説してくれているので、まあ話の内容をフォローする程度にはついていける。(全てをきちんとフォローしたわけではないが)

さりとて、アルゴリズムの話ばかりでもなく、途中では行列の話が出てくる。連立方程式との関係とか、写像とか。個人的にはその部分も非常にためになった。 数学はやや苦手意識があるが、しかしこのシリーズのおかげで非常に豊かな内容を持っているということも気づくことができたので、別の巻も読んでみたい。

2021-03-13

2045年問題 コンピュータが人類を超える日, 松田卓也

 2021-03-13 読了(図書館)

廣済堂新書


Ray Kurzweil などによって言われている技術的特異点の話。

SF映画などで描かれてきた知能を持ったコンピュータが実現したあかつきには「特異点」となり、それより未来は予測不能という予測を、著者自身の長年のコンピュータとのかかわりあいなどの話も織り交ぜ、紹介していく。

確かに、コンピュータの進歩は、ムーアの法則で知られるように、その性能を指数関数的に向上させてきた。また、「AI」「人工知能」という言葉を見ない日はないくらい、技術開発がどんどん進んでいるようだ。ただ素人目には、コンピュータが高性能になっても計算速度が速くなってきたということで、その本質は変化していないように思う。いまの多くの「AI」も、知る限りでは機械学習というべきもので、そこに独自の意識が出現するというものとは違うように感じる(知らないだけかもしれないが)。

余談だが、AIと聞いて思い出すのは、ひと昔まえ(ふた昔?)、ATOK (ジャストシステムのかな漢字変換ソフト)が、使用者の入力内容を学習し、変換候補を入れ替えて提示してくれる機能を「AI 変換」とか呼んでいた気がする。

そうはいっても、コンピュータに意識を出現させる、ということをまじめに研究している人たちは必ずいるだろうし、たとえ機械学習と呼ぶべき技術だとしても、その精度や応用範囲は日進月歩で進んでいるので、いつかは実現するのかもしれない。

本当にその日が来たら、多くの識者が指摘するように、なかなか人類にとってポジティブな未来は考えにくい気がする。

ローマクラブの「成長の限界」の話も取り上げられている。これまたかなり昔に、この話をきいたことがあったはずだが、その言葉自体忘れていて、懐かしく感じてしまった。

  • ロトカ・ヴォルテラの方程式
しかし話を読んで驚いてしまった。今は 2021 年だが、2000年代途中には人口はピークを迎えつつあるという予測であるという。確かに、日本はすでに人口減少フェーズに入っているし、これが先進国だけでなく、現在途上国といわれる国にも広がっていけば、早晩世界の人口はピークを迎えるだろう。

最後の方で、著者は、この成長の限界を打破するために、上記の技術的特異点を目指した「ゴッド・ライク・マシン」に賭けるしかない、と書いている。最後には、政治的な選択もおおくをコンピュータに任せる世の中もあるのでは、と提案というか妄想されている。その点だけ見れば、権力者が特定の利益集団にのみ配慮したような政策をとるのでなく、ベターな、最大多数の最大幸福を満たすような政策をとる方向に行くかもしれない。

2021-02-20

アインシュタインと相対性理論 -時間と空間の常識をくつがえした科学者, Jerome Pohlen (著), 大森充香 (訳)

Albert Einstein and Relativity for kids -his life and ideas with 21 activities and thought experiments, Jerome Pohlen
2021-02-20 読了(図書館)
丸善出版

図書館の子供向けの棚でたまたま手に取って読んでみた。そもそもの動機は、相対性理論のことが子供向けに解説されているのであれば面白い・理解の助けになるかもしれない、というものであった。しかし読み始めてみると、確かに彼の提案した数々の理論についての解説もあるが、それよりも伝記というのが一番近いだろう。

とにかく波乱に満ちた生涯というしかない。暮らした国だけでも、ドイツ、イタリア、スイス、現在のチェコ、アメリカ合衆国。そして2度の世界大戦が彼の生涯に大きな影響を及ぼしている。

相対性理論のことは分かった気になることも難しいが、彼が平和主義者で自由主義者、しかもその信念に従って行動を続けたということは非常に印象深い。

以下、気になる部分のメモ。

  • 1905年「驚異の年」:特許局に勤めながら5つの論文を執筆「光の粒子性、光電効果」「原子の大きさ(砂糖水の粘性と砂糖分子の大きさ)」「原子の存在の証明(ブラウン運動)」「特殊相対性理論」「E=mc^2」
  • 1922に、「1921年度のノーベル物理学賞」を受賞した

2021-02-14

数学ガール, 結城浩

2021-02-14 読了(図書館) 
ソフトバンククリエイティブ

高校生で習うくらいの数学しか出てこないかと思ったら、とんでもなかった。ゼータ関数とか、数列の母関数とか、降下階乗とか。。このような本格的な数学の本を最後まで読ませてしまうのだから、すごい本だ。日本数学会から出版賞というのを受賞しているのもうなずける。

数学の本と言えば、公理、定理、その証明、などが淡々と(別の言葉では、無味乾燥、なにが面白いのかわからないように)書かれているというのが相場と思っていたが、そんな浅はかな思い込みを軽々と超越する。

小説としてみたら、かなりあり得ない設定(図書館で数式と戯れる「僕」のそばに、数学好きな女の子が現れて一緒に問題に取り組んだり議論したりする)だが、そのような舞台設定のために、読み進めようとする動機付けが得られる気もする。

別の点では、式変形を一切省略せず書かれているので、なんとか話についていける(気がする)のも大きいだろう。

シリーズの別の本も読みたくなった。

2021-01-03

ダマシ × ダマシ, 森博嗣

2021-01-03 読了
講談社文庫

このシリーズ最終作らしい。前作が2年以上前で、作中でも時間が流れているようだ。 久しぶりなので、雰囲気を思い出すためにXシリーズの「ムカシ × ムカシ」以降を読み直してから本作を読んだ。 軽快な、というか、森博嗣らしい、人物同士の会話で物語が進んでいく。

このシリーズではちょい役の西之園が本作でも登場。