2011-08-29 読了 (2回目?)
表題作を含む短編集。著名な人物やそうでない人物がモデルとして取り上げられている。
特に印象に残っているのが、
- 河井継之助 (「英雄児」)
- 伊達政宗 (「馬上少年過ぐ」)
- 山田文庵 (作中は山田重庵;「重庵の転々」)
- 脇坂安治 (「貂の皮」)
河井継之助は、長編の「峠」でも主人公となっている(らしい)のでそのうち読みたいが、本作でも十分に存在感を示している。以前、長岡に行った時 、河井継之助の生家跡に記念館があり、時間がなくて入ることができなかったが、そのそばで当時の雰囲気を想像した。地元では慕われているだろうか?
伊達政宗は超有名人だが、父親や弟を自らの手で殺したといわれるなど、戦国時代だけあり、一筋縄ではいかない。
その分家の宇和島藩のさらに支藩の伊予吉田藩が舞台の「重庵の転々」。小説なのでどこまで本当かわからないが、素性も定かでない者が主にとりいり、立身していく様は、「国盗り物語」の斉藤道三のようだ。
播州竜野で脇坂氏が幕末まで続いたというのはこの話で知ったことだが、脇坂安治は有名な「賤ヶ岳の7本槍」の1人だそうだ。秀吉系の大名は福島正則や加藤清正など改易されているが、7本槍のなかではただ一人、脇坂家だけが大名で残ったそうだ。
それぞれ趣があり、楽しい。