2012-07-22 読了
2011年11月に第1刷が出ているので、地震後にすぐ原稿を準備し始めたであろうことが想像できる。そういう意味では、知識を網羅的に盛り込んだ教科書的な本ではなく、それぞれの専門家がそれぞれの視点で地震・津波・災害・原発などについて「熱い」状況で語った、という感じだろう。
さまざまな調査・研究に基づく話は説得力がある。
畑村氏担当部分に寺田寅彦「津浪と人間」からの一節が引用されているが、人間と災害に対する関係について示唆に富む。
こういう災害を防ぐには、人間の寿命を十倍か百倍に延ばすか、ただしは地震津浪の週期を十分の一か百分の一に縮めるかすればよい。そうすれば災害はもはや災害でなく五風十雨の亜類となってしまうであろう。しかしそれが出来ない相談であるとすれば、残る唯一の方法は人間がもう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はないであろう。
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