2011-01-30

日本百名山, 深田久弥

新潮文庫
2011-01-30 読了

寝る前とか風呂の中とか、細切れ時間を利用して、少なくとも1年以上かけてようやく読み終えた。知らない山がかなりあった。さすがに3000メートル級の山にはおいそれとは近づけないが、山の自然や景観には憧れる。

1つの山につき4ページで、山の歴史、名前の由来、著者が登った時の思い出、などが綴られる。自然を愛する登山家らしく、何度も、「混雑を避けて春先に登った」とか、「バスや土産物のない山」とか、の記述が見られる。軟弱登山愛好家としても、もちろん混雑していなくて、自然に近い姿の方が嬉しいが、道路などの整備によって明らかに山に近づきやすくなっており、その恩恵を受けているので、どうしようもない。

山に限らないが、例えば山の上に大きな旅館の廃墟が残っていたり、出店が規制されている観光地のど真ん中で既得権益にあぐらをかいて、醜い建物や平凡な食事で商売を続ける店など、おそらく数10年前にピークを迎えてそのまま衰退の道を進んでいるのだろうが、日本の縮図をみる思いがする場所も多い。

ところで、「後記」に選定基準が書かれている。
  • 品格
  • 歴史
  • 個性
付加的条件として、おおよそ1500メートル以上の高さを持つこと(例外は筑波山と開聞岳)。しかし最も重要な条件は、著者自らが登った経験のある山、という。そのせいで、いくつかの山が選からもれたそうだ。このような楽しい「後記」が待っていようとは思いもしなかった。

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