2017-07-22

マンガでわかるゲーム理論, ポーポー・ポロダクション

2017-07-22 読了
サイエンス・アイ新書, SBクリエイティブ

序論に、豊臣秀吉のまえで前田慶次が「かぶく」場面が取り上げられていて、関心を惹かれた。
豊富な事例(ケーススタディ)をもとに、最適な戦略やゲーム理論の概念「ナッシュ均衡」「パレート最適」などが解説される。
ゲーム理論のことを分かっているわけではないが、理論自体の有用性はありそうに思えたが、この本だけではなぜ「ナッシュ均衡」「パレート最適」という概念が必要とされるのかがよく分からなかった。

2017-07-07

経済数学の直観的方法 確率・統計編, 長沼伸一郎

2017-7-6 読了
講談社ブルーバックス

経済学の二大難解理論の一つである、ブラック・ショールズ方程式の理解を目標とした、確率・統計編。
姉妹本である、「マクロ経済学編」と同様、「初級編」「中級編」「上級編」の3章構成。

この著者特有の、さまざまな「小道具」(もちろん空想上のものだが、思考実験ともいえる)が出てきて、ガウス分布、中心極限定理、確率微分方程式などなどが解説される。ほとんど前提知識なしにこの本を読んでも、これだけ高度な内容の話の流れを追えるように書かれているのはすごいと感心するが、もっと切れ味の鋭い解説を期待していたので(特に確率・統計の基礎的内容)、少々肩透かし感もある。

はじめから内容に入っていたので、経済学の歴史のような話はないのかと思っていたら、「教養としてのブラック・ショールズ理論」という節がちゃんと用意されており、「年何%の成長」(長期的には指数関数的にならざるを得ず、個人的には維持不能に思える)という現代の価値観というか世界とは異なる「直線的な成長」という視座もあるということから、話を大きく膨らませての言説はいつもながら面白い。


2017-07-02

ゼロから作るDeep Learning, 斎藤康毅

2017-07-02 読了
オライリージャパン

Deep Learning (というか、ニューラルネットワーク)のプログラムを、ゼロからつくる、というコンセプト。
そのプログラム(実装)だけに偏らず、さまざまなテクニックの詳しい説明もあり、中で何をやっているのかがよくわかる。いろいろなブログなどでこの本がおススメされているのもよくわかる。

そうはいっても、なぜこのようなアルゴリズム(ニューラルネットワーク)で、画像認識などがうまくいくのか、については、よく分からなかった。

Python は使ったことは無いが、Deep Learning に限らず、データ解析関係のライブラリの充実ぶりは目を見張る。Pythonにも興味がわいてくる。

2017-06-29

経済数学の直観的方法 マクロ経済学編, 長沼伸一郎

2017-06-29 読了
講談社ブルーバックス

「物理数学の直観的方法」の著者が、現代経済学理論の解説をする。
この著者の方針として、中身の厳密性などよりも、なぜそんな概念・操作をする必要があるのかや、そのご利益の説明に紙面の大半が費やされている。
しかも今回は経済学だ。その発展の歴史や、そこに潜む思想などを、著者の視点で解説されているのが面白い。

それによると、「動的マクロ均衡理論」という現代経済学理論では、物理の「解析力学」の考え方が導入されているという。これが、少し前に世間で話題になった「インフレターゲット」の基礎となっているらしい。

ここまで高度な数学を使っていても、「経済学」は「文系」の学問なのか、というか、そもそも文系と理系とはなにか、という疑問がわいてくる。

もっとも、私は経済学については全く知らないので、ここに書かれていることが本当に経済学の教科書に載っているようなことなのか、不明。

この本を読んでいる途中で、「物理数学の直観的方法」も読みたくなってしまい、そちらをさきに「復習」した。

2017-01-13

キウイγは時計仕掛け, 森博嗣

講談社文庫
2017-1-13 読了

とある大学で学会開催中に、その大学で事件が発生する。それでも学会はほぼ予定通り行われる、という、なかなか微妙な設定。シリーズの関係者が集まるためには必要だろうが。

自分の知っている学会(大会)と違うところもあり、文化の違いか、面白い。例えば、開会式、招待講演会、設計の展示会、など。

大学の学長や副学長などは、学者というより政治家、というくだりは、ニヤリとしてしまう。

自分の読み方だと、だれが犯人だろうか、とかのメインの謎について、ほとんど考えずに読んでいる。

雨宮まみ氏による「解説」で、この一作だけを読むだけでなく、シリーズを通して読まないと、メタな話は楽しめない、というようなことが正直に書かれていた。
また、森作品の魅力というか、次の作品もつい読みたくなる理由として、このメタなストーリィとともに、森博嗣のいろいろな思考・考え方に触れることができる、ということが挙げられているが、同感だ。

またシリーズの最初から、読み直さなければ。

2017-01-02

モダン, 原田マハ

文藝春秋
2017-1-2 読了

New York Museum of Modern Art にいろいろな意味で関連する、短編小説集。

ピカソのゲルニカが「疎開」していた話とか、実際にあったことと絡んだストーリーが展開し、面白い。

歴史とかもそうだが、学校の教科書でみたり聞いたりするだけではなかなか興味がわかないが、(真実か否かはともかく)ストーリーがあると、関心を持ちやすい。(少なくとも自分は。)