2017-7-6 読了
講談社ブルーバックス
経済学の二大難解理論の一つである、ブラック・ショールズ方程式の理解を目標とした、確率・統計編。
姉妹本である、「マクロ経済学編」と同様、「初級編」「中級編」「上級編」の3章構成。
この著者特有の、さまざまな「小道具」(もちろん空想上のものだが、思考実験ともいえる)が出てきて、ガウス分布、中心極限定理、確率微分方程式などなどが解説される。ほとんど前提知識なしにこの本を読んでも、これだけ高度な内容の話の流れを追えるように書かれているのはすごいと感心するが、もっと切れ味の鋭い解説を期待していたので(特に確率・統計の基礎的内容)、少々肩透かし感もある。
はじめから内容に入っていたので、経済学の歴史のような話はないのかと思っていたら、「教養としてのブラック・ショールズ理論」という節がちゃんと用意されており、「年何%の成長」(長期的には指数関数的にならざるを得ず、個人的には維持不能に思える)という現代の価値観というか世界とは異なる「直線的な成長」という視座もあるということから、話を大きく膨らませての言説はいつもながら面白い。
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