2022-02-11

「第二の不可能」を追え!, Paul J. Steinhardt (著), 斉藤隆央 (訳)

The Second Kind of Impossible
みすず書房
2022年2月7日 読了(図書館)

「事実は小説よりも奇なり」と言われるが、推理小説というかミステリーのように話が進み、全く予想がつかないような展開が待っている、という、驚くような本当の話。掛け値なしに面白い。

そもそも「準結晶 (quasicrystal)」という言葉も知らなかった。結晶でもなく、アモルファスでもない、固体の第三の状態ともいうべきものを指す用語。まあ広い意味では結晶といってよいように思うが(素人の感想)。

そういう固体の状態を、数学的に考えるというような研究をしていた理論物理学者が、成り行き上というか、天然の準結晶を求めてカムチャツカへ調査に行く。しかしそれだけで終わらず、持ち帰ったサンプルの研究で、これまた驚くような発見があった話も、たくさん盛り込まれている。

研究というものは、えてして、どんな成果が得られるのかわからないことも多いが、ここまで劇的なことはなかなかないように感じる。

ミステリーの筋を書くのはネタばれになるので、これ以上詳しいことは書かないが、Richard Feynman とか、ペンローズ・タイル (Penrose tiling) とか、大御所の名前が序盤から出てきたりして、ぐいぐいと引き込まれる。

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