2012-03-26 読了
文春文庫
なんと「誰か Somebody」の続編。まさか続編が出るとは思いもしなかった。というのも、それほどキャラクタが印象に残る、という類ではないと思っていたから。本書でもたびたび出てくるが、野心のない男、というような設定だ。とはいえ、考えてみると、今多コンツェルン会長の娘婿、その会社の広報誌編集部、という特異な役どころは、普通でない。そのような設定だと、いろいろな事件に首を突っ込ませ易いのかもしれない。
まあしかし、続編だろうがなんだろうが、本書(他の宮部作品でも同じだが)の魅力が減じるものではない。
例によって、内容には触れずにおこう。
解説によると、この作品は、2005年末まで新聞で連載され、2006年8月に単行本として出版されたらしい。その後ノベルズ版が2009年5月に出版。私の購入した文庫は2011年12月出版だ。単行本が出てから5年以上が過ぎている。もうちょっと早く文庫を出してもらいたいものだ。出版元としては、より高額で売れる版を、少しでも長く売りたいだろうから、宮部のようなベストセラー作家の作品は急いで文庫化する必要はないのだろう。
しかし小説を読むフォーマットとして、文庫が一番適していると思う。比較的安価だし、椅子に座っても、寝転がっても読める。電車の中でも取り出しやすい。反対に、単行本など、ハードカバーだし、大きいし、重いし、まったく利点が思いつかない。
日本の出版社の電子書籍に対する超保守的態度からもわかるが、読者の便宜などまったく考慮されておらず、自分たちの商売の慣習を頑なに守っているだけという気がする。
日本のマスメディアと同じで、出版業界も日本語という障壁に守られているので、まだまだ滅びないだろうが、20~30年後にそのままの形で生き残っているとは到底思えない。
と、ほとんど本作とは関係のない愚痴となってしまった。
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