2008-12-29

戸塚教授の「科学入門」, 戸塚洋二

講談社
図書館
2008-12-29 読了

一流の科学者は、説明もうまい、という良い事例。専門の素粒子物理学にとどまらず、幅広い興味の対象についての記述がおもしろい。葉の多様性、とくに環境要因がどのような動的メカニズムで発現するか、ということを疑問に思う発想が素晴らしい。
  • 背の高い木が水を持ち上げるメカニズムは水素結合が効いている
気になる記述としては
生物学や地震学などでは、対象物を舐め尽くすようにする研究、「タコつぼ研究 (失礼!)」が依然として続いているようです。だから、非常に多くのものを網羅する「データベース」という考え自体が存在しないのです。
(P.111) がある。地震学のどのようなところが「タコつぼ研究」と見えるのか、是非伺ってみたかった。おそらく、地震が起こるたびに、その地震についての研究がワッと出て、次の地震が起こればまたそちらの研究、というような「個別事例研究」を指しておられるのではないか。私は、そういう面もあるとは思うが、それだけでもないと思う。

著者が引用している、John Bahcall 氏の発言が印象深い:
I believe that the most important discoveries will provide answers to questions that we do not yet know how to ask and will concern objects that we can not yet imagine.
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