2025-04-11

月まで三キロ, 伊与原新

新潮文庫
2025-04-11 読了

本屋で平積みになっていたのをたまたま見かけ、開いて読み始めたら、先が気になり、買って読んだ。

単行本は2018年に出版されているようだ。短編集。帯には「泣ける話」みたいなことが書かれていたように思うが、表題作の「月まで三キロ」は確かにしんみりする。詳しくはネタバレになるので書かないが、月が子どもみたい、というのは、説明されると確かに納得させられる。

どの話も、科学に関する話題が練りこまれていて、濃淡はそれぞれだがうれしい感じがする。「エイリアンの食堂」では、つくば市の高エネルギー加速器研究機構が出てくる。世界で一番小さいものを研究していると同時に、世界で一番大きなものを研究しているということにもなる、という言葉が印象に残った。

ほかの本も読みたくなった。

2025-01-04

プレミアリーグサッカー戦術進化論, Michael Cox (著), 田邊雅之 (訳, 著)

二見書房
2025-01-04 読了

The Mixer: The Story of Premier League Tactics, from Route One to False Nines

オリジナルの英語版は2017年に出版されているが、そちらは全25章で 2016/17 シーズンまでの話をカバーしているようだが、この日本語版では第26章で 2017/18 の Manchester City が取り上げられているほか、第27章と補章を田邊さんが担当し、第27章では 2018/19 シーズンとイングランド代表の活躍までカバーし、補章ではプレミアリーグ(というかイングランド)に挑戦した日本人選手について触れられている。もっとも、この本が出版されたのが 2019 なので、当然そこまでの話題。

読んだ印象としては、邦題の「戦術進化論」というのはやや大げさな感じがする。原題にあるように「Story of Premier League Tactics」というのが良い気がした。戦術に注目してプレミアリーグの 25 年の歴史をたどっていく、というような感じ。

それにしても、サッカーの世界は、プレミアリーグだけに限らず、ほかの主なリーグはどこでも、変化が速いと感じる。1シーズン中に何度も監督を交代させるチームも珍しくない。その大きな理由の一つはおそらく、成績が悪いと下位のリーグに降格してしまう(そうするとクラブの財政も厳しくなる)ということがあるようにおもう。そう思うと、Sir Alex Ferguson や Arsène Wenger みたいに 20 年以上も同じチームを指揮し続けるというのは、奇跡のように思われる。