2024-10-15

塞王の楯, 今村翔吾

集英社文庫
2024-10-15 読了

主に大津城を舞台に、石垣のプロ集団の穴太衆と、同じく技能集団である国友衆(鉄砲)との戦いを主軸にした物語。特に穴太衆については、石を積むというところに注目しがちだが、石場で石を切り出し、それを必要な場所まで運搬することも、劣らず重要ということと、技術の話なので、ある程度定量的な記述があるのが、少なくとも私の読んだことがある歴史小説にはほとんど見られないものだったので、新鮮に、また、好ましく感じた。

下巻で戦の場面になると、なんというか、やや人間離れしたような感じになり、宮部みゆきでいうところの超能力者とか、歴史小説では忍者物のような感じになり、やや現実離れした印象を受けた。

それにしても一気に読まされてしまった。舞台となったところ(大津城はほとんど残っていないようだが)など訪れてみたい。