2022-11-19

ANGELS & DEMONS (天使と悪魔), Dan Brown, 越前敏弥 (訳)

角川文庫
2022-11-19 読了 (図書館)

「ダビンチ・コード」で有名な作者による「ラングドン」シリーズの第一作らしい。といっても私は「ダビンチ・コード」しか読んだことが無いので良く分からない。

この作品はイタリア・ローマが主な舞台で、名所がたくさん出てくるので、なんか親しみがある。ローマには一度だけ行ったことがあり、訪問したことのある場所もいくつか出てくるので、なにか親しみがわく。また、訪問しなかったところが出てくると、ちょっと残念な気分になる。google map の street view などで小説の舞台になっている場所をついつい見て確認したくなる。

肝心の小説の中身は、ミステリなので、例によって詳しく触れるのはやめておくが、「ダビンチ・コード」ほどは謎解き要素が少なく、前半部などむしろホラー的な部分もある(とはいえホラー小説と呼ばれるものをほとんど読んだことが無いので、そうは言わないのかもしれないが)。話の展開がスピーディで、はじめから映画化を狙っていたようにも思える。

「ダビンチ・コード」を読んだのはもう10年以上前なので、また機会があったら読み直してみたい。それにしても、ラングドン教授は不死身だなあ。

2022-11-06

「役に立たない」科学が役に立つ, Abraham Flexner, Robbert Dijkgraaf, 初田哲男(監訳), 野中香方子(訳), 西村美佐子(訳)

The Usefulness of Useless Knowledge
東京大学出版
2022-11-07 読了 (図書館)

プリンストン高等研究所の初代所長 (Abraham Flexner) と、前所長かつオランダの現教育・文化・科学大臣 (Robbert Dijkgraaf) が著している。もともと Abraham Flexner が書いたエッセイに Robbert Dijkgraaf が解説のようなエッセイを追加で書いたようだ。

内容は、なんというか、タイトルの通り。日本で、歴代のノーベル賞受賞者が、機会あるごとに基礎科学研究の重要性を述べているが、日本の高等教育・科学技術行政は「選択と集中」というスローガンに代表されるように、役に立つ・応用に直結する研究が求められ、基礎研究というか研究の多様性を守る・育てるというような政策は顧みられていないように思える。そのようなことは日本だけかと思ったが、世界を代表する米国の研究所の所長経験者も、それぞれの時代の風潮を感じてこのような文章を書いているほどだというのには、やや驚いた。

両方の文章にはそれぞれ著名な科学者・発明家などが多数挙げられ、多くの場合、役に立つことを目指して研究していたわけではなく、それぞれの精神・好奇心の導くままに探求した成果だということ、また将来どのような応用につながるかを見通すことは困難だということ、が繰り返し述べられている。もっとも、今わからなくても将来何かに役立つから基礎研究が重要なのだ、と言っているわけではなく、研究というものは精神の自由な思考・試みのもとでないと真に新しいことはできないからだ、というようなことが書かれていた(かなりうろ覚えなので文言は不正確)。