2011-05-18 頃読了
よく経済には「景気の波」があるなどという空をつかむような話がされるが(それはそれで、複雑系だからいろんな変動が出るとは思うが)、この本は人口、課税所得、小売販売額といった、生活感覚に即した、かつ、推定でなく全数実測値のある指標から、内需不振の原因が生産年齢人口の減少にあると主張している。
私も以前、生産年齢人口について述べたことがあるが、私の見方はまだまだ生易しく、首都圏ですら、生産年齢人口がどんどん減少しているということに衝撃をうけた。そりゃ車に乗れる人が減っているのだから自動車など売れなくなるのも当たり前だ。
著者はしかし解決策も提示する。移民の受け入れや「少子化」対策をやっても、数百万人単位で生産年齢人口が減り続けているのを補うには焼け石に水で、
- 高齢富裕層から若者への所得移転
- 女性の就労増加
- 外国人観光客の受け入れ増加
問題は「少子高齢化」ではなく「生産年齢人口減少」著者の言うとおり、問題を正しく認識しなければ、問題解決はおぼつかない。子供手当のまえに(それすらできていないのだが)やるべきことはたくさんある。