2020-02-15

妻のトリセツ, 黒川伊保子 (編著)

2020-02-15 読了(図書館)
講談社+α新書

どうやら男と女の脳の働きは結構異なるらしい。この本はべつに脳科学の本ではないが、それぞれの特徴を挙げ、世の夫が「妻から放たれる弾を10発から5発に減らそうというのが、本書の目的」。前書きから、身に覚えのあることがいろいろとでてくる。
そもそも妻の怒りの理由は、「今、目の前で起きたこと」だけではない。過去の関連記憶の総決算として起こるものなのである。
心が動くと、その「感情の色合い」と同系色の引き出しに収納された過去の体験記憶が数珠つなぎになって、一気に引き出される。「感情によって連鎖される記憶」なので、当然、感情が増幅されて溢れる。
理不尽ではあるが、そういう「ネガティブトリガー」を極力減らし、ポジティブトリガーを少しでも増やそう、という戦略を指南してくれる。

読み進めていくと、ときどき、笑ってしまうほど「ある、ある」と思えてしまうことが出てくる。それが脳機能の違いに根差すと言われたら、理解はできる。だからといって理不尽さを納得できるかと言えばそんなことは無いが。

本書の裏表紙に書かれていることを引用。
  • 妻は夫に問題解決を求めていない
  • 妻は夫に共感してもらいたいだけ
  • 「おうむ返し」で共感のフリを
  • 事実の否定は心を肯定してから
  • 夫には見えていない家事がある
  • 「~っぱなし問題」を放置するな
  • メールせよ!「今、小田原通過」
  • 記念日を軽んじてはいけない
  • 心と裏腹な妻の言葉
他にも引用したいところはたくさんあるが、、、

2020-02-06

医者が教える正しい病院のかかり方, 山本健人

2020-02-06 読了
幻冬舎新書

病院、医者、薬、などにお世話になる場合に、役に立つ知識がいろいろと書かれている。はじめての医者にかかるときには「お薬手帳」を持っていくとよい、など。

本書の中に何度か出てくるフレーズが「後医は名医」。ある症状が出て、医者にかかると、その医者は、はじめの限られた情報で診断し治療方針を決める必要があるが、その医者が信用できなかったりして別の医者・病院にかかると、後の医者は、最初の医者の治療内容や処方した薬による効果、という重要な情報を最初の情報に加えて知ることができるので、より適切な治療が可能になり、患者から見た時に、後の医者が「名医」になることがある。

著者は、治療の途中で医者を変えることはあまりお勧めしないという。

薬を出してくれ、とか、こんな検査をしてくれ、とかを医者に言ってくる患者がいるらしい。また医者に指示された薬を飲む回数などを勝手に変更する人がいるらしい。この本では、いろいろと実例を挙げて、それらの無意味さというか不合理さを説明している。こんなに書いているくらいだから、ほんとうにそういう人がそれなりの数いるのだろう。そもそも医者は当然ながらプロなので、素人がちょっとネットで調べて得たような知識などとは比べ物にならない専門的な知識、経験、などにもとづいて治療を行っている。これをおさえたうえで医者とうまく付き合いたい。

細かい注意も行き届いている。例えば、救急車に乗せられていった場合、当然帰りは送ってもらえないので、履物や冬であれば上着などが必要になる、とか、だれか付き添いの人が必要になる、とか。

また六章の「家庭の医学」では、昔のいろいろな「常識」に対して、最近の医学で変わってきていることについていろいろ指摘されていて驚く。たとえば以下のようなこと。

  • 擦りむいたときに傷口に消毒薬をつけてもあまり意味がない
  • 風邪で熱が出た時におでこを冷やしたりしても体温を下げる効果はない
  • 風邪をひいたときには風呂に入らないほうが良い、という常識があったが、それは昔はそもそも家に風呂がなくて銭湯に行く必要があったり、風呂が寒いところにあったり、風呂に入ると身体を冷やしてしまうおそれがあったためで、今はむしろ風呂に暖房があったりして入浴後も温かく過ごせるので、入浴を避けることに意味はない
  • 「薬局で手に入る風邪薬より病院で処方される風邪薬のほうがよく効く」という人がいるが、薬の成分としては大差がなく、そもそも風邪を治すための薬はない(風邪薬は、せき、鼻水、頭痛など症状の緩和のためのもの)
  • 鼻血が出た時に上を向く、とか、ティッシュペーパーを鼻に詰める、とかはあまり効果がなく、むしろ座った状態で前かがみになり、鼻翼を指で挟んで押さえる(圧迫する)と血が止まりやすい

著者は、現代はインターネットなどに玉石混交の医療情報があふれていて、その悪影響を肌で感じていらっしゃるようだ。それがこの本の執筆であったり、情報提供サイトの開設であったりするらしい。ただでさえ忙しいお医者さんが、治療だけでなく、このような活動をしてくれていることに感謝したい。

2020-02-02

森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります!, 森博嗣

2020-02-02 読了 (図書館)
講談社

「日経パソコン」に連載されていたエッセイをまとめたものらしい。例えば、自転車はなぜ転ばないのか、など、科学ネタの要点のみをわかりやすく (?) 解説している。しかし、内容はかなりマニアック。自動車の左右のタイヤは一本の車軸に固定されて一緒に回っているのでなく、独立して回るようになっている(でないと、カーブでは外側のタイヤのほうが長い距離を走らないとだめで、左右で回転数が異なることになるが、固定されていたらそのような回転数の違いが吸収できない)が、鉄道の車両はほとんどが左右固定式なので、軌道の方にバンクをつけたり、車輪の内側と外側の径の違いで多少吸収していることとか。

2019-10-27

京大変人講座; 酒井敏, 小木曽哲, 山内裕, 那須耕介, 川上浩司, 神川龍馬; 山極寿一, 越前屋俵太

2019-10-27 読了
三笠書房

京大の「変人」が多数登場するのかと勝手に思い込んでいたが、講座のWEBにも書かれている通り、
この変人講座は、世の中に変人がいなければならない理由を語ることを第一の目的にしています。京大のとんでもない変人を紹介することを第一目的にしているわけではありません。というわけで、特に変人講師を集めているわけではありません。
というわけで、ちょっと変わったことを考えている人、ちょっと変わったものを対象に研究している人、たちのおもしろい話。

自分が全く聞いたこともないような話、という意味では、山内裕「なぜ鮨屋のおやじは怒っているのか」、川上浩司「なぜ、遠足のおやつは"300円以内"なのか」が面白かった。前者は「サービス」とは何か、後者は「便利を追求するだけでよいのか」、ということを考えさせてくれる。その意味では、那須耕介「人間は"おおざっぱ"がちょうどいい」の話の中でも「安心・安全」を他人に任せておいてよいのか、という問いが出てくる。

それ以外でも、驚愕の地球史、生物の系統樹がどんどんひっくり返ってきている話、そしてもちろん酒井敏「『ぼちぼち』という最強の生存戦略」は別の本で詳しく述べられているカオス・フラクタル・スケールフリーネットワークの話、のどれも、非常に知的好奇心を刺激してくれる。

2019-10-20

京大的アホがなぜ必要か カオスな世界の生存戦略, 酒井敏

2019-10-20 読了
集英社新書

新たなものが生まれる過程を知ることができる知的興奮と、カオス、フラクタル、スケールフリーネットワークなどの概念も解説される。

その前半部の話題をもとに、後半(第四章、終章)では、日本の昨今の「大学改革」がいかに危険な道を進んでいるか、危機感を持って語られる。

生態系を壊すような過度な競争を持ち込んではいけない
大学の存在意義は、結果的に出てきたその「成果」ではなく、そういう成果を生み出す「場」にある
生物界はアホのルールで回っています。人間も生物の一種である以上、もっとアホが堂々としていなければなりません。
大嫌いなやつ。絶対合わない、目も合わせたくない。そういう奴も含めての多様性だ。カエルにとってのヘビや、人間にとってのゴキブリこそが多様性だ。

正確でないかもしれないが、生物は40億年もカオスな世界を生き延びてきたが、環境の激変に対応するように進化したというよりは、そういう新しい環境に適応できるような種も突然変異などでできていて、それがたまたま環境の変化に適応する性質だったから生き延びた。そういう多様性を持っておくことが重要。

ナマコを最初に食べた人はすごい、とかねがね思っていたが、そういうチャレンジャー(この本では「アホ」)がいて、食の多様性がひろがった。「選択と集中」をして、例えば米だけ生産することに特化して、もし自然災害などで米がとれなかったら、全滅してしまう。

最後に、学生にむけたメッセージの中で、トーマス・エジソンの名言が引用されている。素晴らしい読後感を与えてくれる。

2019-10-19

知れば知るほど 行司・呼出・床山, 「相撲」編集部 (編著)

2019-10-19 読了
ベースボール・マガジン社

日本相撲協会に所属する、裏方の、行司、呼出し、床山の仕事に焦点をあてた本。その仕事内容の多様さゆえか、行司のページ数が非常に多い。取組の判定、場内アナウンス、番付表などの相撲字書き、などは知っていたが、巡業でも先に巡業地に乗り込んで、関係者の宿割りやバス割(誰がどのバスに乗るか)を行ったり、所属する相撲部屋の雑用などもされているそうで、非常に大変な仕事だと感心する。

呼出しもいろいろ仕事はあり、土俵を作ることから始まり(土俵築)、場所中の土俵の維持(掃除)、土俵回りの雑用(座布団を渡したり、水を渡したり)、太鼓をたたいたり。

床山は、書かれているのはほぼ、髪を結うこと、のみ。

それぞれの仕事で使う道具・材料を作っている会社というか職人も取り上げられている。行司の装束、草履、呼出しの裁着袴(たっつけばかま)、太鼓、床山が使うつげ櫛、びんつけ油。それぞれほとんど家族経営というか、職人仕事で成り立っているらしい。将来は大丈夫かと心配になってしまう。

2019-10-16

大相撲の道具ばなし, 坂本俊夫

2019-10-16 (?) 読了
現代書館

相撲にまつわる「道具」の蘊蓄話がいろいろ。道具と言っても、国技館のことも出てくる。

稽古廻しは相撲協会の事務所で売っている、だとか、面白いネタ多数。