2024-10-15
塞王の楯, 今村翔吾
2023-01-03
傑作! 巨匠たちが描いた小説・明智光秀; 吉川英治, 池波正太郎, 山田風太郎, 柴田錬三郎, 井上靖, 海音寺潮五郎
宝島社文庫
2023-01-03 読了 (図書館)
6人の作家による、明智光秀が出てくる短編小説集。しかしその作風はそれぞれ異なり、海音寺潮五郎の「明智光秀」は小説というより、作者自身が「ぼく」として登場し、自分の考えを述べる文章。吉川英治「茶漬三略」は明智光秀というより豊臣秀吉が主役。池波正太郎「鬼火」は本能寺の変に巻き込まれた忍者が主役。山田風太郎「忍者明智光秀」はそのタイトルの通り、設定がかなり特異。柴田錬三郎「明智光秀」も本能寺の変とそれに関わるというか、裏で筋書きを描いた忍者の話。井上靖「幽鬼」は、光秀が攻めた波多野氏の悲劇と本能寺の変。
一口に歴史小説と言っても、もっともらしい史実を下敷きにして話を作るだけでなく、かなり荒唐無稽な設定に仕立て上げるものもある幅広い・自由なものであるということが分かった。
2022-12-10
ダ・ヴィンチ・コード ヴィジュアル愛蔵版, Dan Brown (著), 越前敏弥 (訳)
角川書店
2022-12-10 読了 (図書館)
「ダ・ヴィンチ・コード」の小説だが、作中に登場する絵画や場所、地図などが掲載されているので、私のようにインターネットでどんな場所・絵かすぐに調べたくなる人には非常に良い企画。
小説は、前回読んだのが15年(以上)前のはずで、ほとんど覚えていなかった。おかげで新鮮な気持ちで読めてよかった。 記憶の中では、もっといろいろな謎が出てきたようにも思ったが、謎解きと言えるのは、作中の重要人物のジャック・ソニエールが仕掛けたものが大半で、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の解釈程度。「モナリザ」も出てくるが、ラングドン教授が講義で説明する程度。本作を貫く主要なテーマではある。
「天使と悪魔」の展開とやや似た部分もある。気味の悪い殺人者の存在がずっとちらついていたり、黒幕、作中での時間の短さ(今回は2~3日?)などなど。スピード感が感じられ、これはこれで非常に効果的。ただ展開がかなり強引に感じた。
現地に行ってみたいものだ。
2022-11-19
ANGELS & DEMONS (天使と悪魔), Dan Brown, 越前敏弥 (訳)
角川文庫
2022-11-19 読了 (図書館)
「ダビンチ・コード」で有名な作者による「ラングドン」シリーズの第一作らしい。といっても私は「ダビンチ・コード」しか読んだことが無いので良く分からない。
この作品はイタリア・ローマが主な舞台で、名所がたくさん出てくるので、なんか親しみがある。ローマには一度だけ行ったことがあり、訪問したことのある場所もいくつか出てくるので、なにか親しみがわく。また、訪問しなかったところが出てくると、ちょっと残念な気分になる。google map の street view などで小説の舞台になっている場所をついつい見て確認したくなる。
肝心の小説の中身は、ミステリなので、例によって詳しく触れるのはやめておくが、「ダビンチ・コード」ほどは謎解き要素が少なく、前半部などむしろホラー的な部分もある(とはいえホラー小説と呼ばれるものをほとんど読んだことが無いので、そうは言わないのかもしれないが)。話の展開がスピーディで、はじめから映画化を狙っていたようにも思える。
「ダビンチ・コード」を読んだのはもう10年以上前なので、また機会があったら読み直してみたい。それにしても、ラングドン教授は不死身だなあ。
2022-10-10
司馬遼太郎と城を歩く, 司馬遼太郎
2022-10-10 読了(図書館)
光文社
これは司馬遼太郎が亡くなった後に出されているので著者が「司馬遼太郎」というのは違う気がするが、ともかく司馬氏の小説や「街道をゆく」などの作品中で触れられている城についての文章が約2ページ分引用されていて、それにちょっとした解説やその城周辺の街などの見どころなどが掲載されている。個々の城の情報はそれほど多くないが、例えば、大坂城の節で大村益次郎殉難報國之碑(大村が京都で刺客に襲われたあと治療を受け、また亡くなった病院があった場所)について触れられているという具合。
行ったことがある城でも、そのように、訪れていない場所などが紹介されていたりするので、また行きたくなる。
2022-08-07
信長はなぜ葬られたのか, 安部龍太郎
幻冬舎新書
2022-08-07 読了 (図書館)
織田信長が明智光秀に討たれた「本能寺の変」の真相について、様々な史料や著者の推測から、 近衛前久(太政大臣, 関白など歴任)を中心とする朝廷黒幕説を展開。 これ自体は異論もあるだろうが、私自身は、せいぜい司馬遼太郎の歴史小説などで知っている程度なので、初めて聞く話や初めて知った人物が多く、面白く読めた。
京都の阿弥陀寺(門前に「織田信長公本廟」という碑があるらしい)に織田信長の墓があるという話から始まって、なぜか静岡の西山本門寺に首塚があるという話、安土城に「清涼殿」跡が発見された話、などなど。
もっとも、直接、本能寺の変に関係する話は2章までで、あとの半分は、時代背景を理解する上でのキーポイントとして、大航海時代、戦国大名とキリシタンについて書かれている。確かに、我々が知っている戦国時代の話のほとんどは、江戸時代のフィルター(価値観)を通しているものが多いのだが、著者が指摘するように、鉄砲自体は国内で作れたとしても、火薬や鉛玉を作るための原料はほとんど国内では手に入らなかったので、貿易・商人の重要性はどれだけ強調してもしすぎということはないだろう。例えば、信長が足利義昭を奉じて上洛した際、将軍となった義昭から提示された副将軍などの地位を辞退し、代わりに堺などの都市の支配権を得たという話は、江戸時代的な感覚からいくと理解がし辛いが、そのような時代背景を考えれば納得がいく。
著者が挙げる江戸史観は
- 鎖国史観
- 身分差別史観
- 農本主義史観
- 儒教史観
イエズス会をはじめとする、キリシタンの影響についても触れられている。確かに、それだけ勢力があり、実力を恐れられたから、豊臣秀吉や徳川幕府から弾圧されたのだろう。 最後に触れられている、小石川伝通院にある千姫の墓が印象的。一度、見に行ってみたい。
2021-09-26
王城の護衛者, 司馬遼太郎
2021-09-12
桶狭間の四人 光秀の逆転, 鈴木輝一郎
毎日新聞出版
なぜか桶狭間の戦いに明智光秀も参加している(ただし、正式に織田家に仕官していたわけではない)というストーリー。なんというか、歴史小説ではあるが、そういう奇抜な設定や、あまりおもしろくないユーモアがあったり。よく言えば新機軸を打ち出している、悪く言えば、奇をてらっている。誰もが結末を知っている桶狭間の戦いに向かっていくので、そのストーリーで読み進めることができるが、かといって面白いかと言われれば、私には合わない感じだった。
2021-08-16
一度は行きたい日本の美城, かみゆ歴史編集部(編)
学研
オールカラーで写真を見るだけでも楽しめる。旅行ガイドブック的でもある。しかしそれだけにとどまらず、コラム欄には個人的に知りたかった「破風」や「石垣」の種類などの解説が簡潔になされていてよかった。
- 切妻破風
- 入母屋破風
- 千鳥破風
- 唐破風
香川の高松城(玉藻城)や丸亀城にも、重要文化財に指定されている櫓など(丸亀城は現存天守)があるということで、今度機会があれば行ってみたい。
2021-08-15
図解城のすべて, 鈴木亨(監修), PHP研究所(編)
PHP研究所
1995年発行とやや古い本だが、城の時代時代による変遷を、弥生時代の集落とかから解説。現在我々が「城」と聞いて思い浮かべる豪華な天守は戦国時代にはほとんどなく、多くは江戸時代に大名の権威を知らしめる目的などのために作られた、という。
個人的に知りたかった破風や石垣の種類についてはあまり書かれていなかったが、縄張(なわばり)、曲輪(くるわ)、本丸、などの説明が楽しい。また、堀の断面形状にも種類があるというのには驚いた(水を抜いた時の底面が平面のものだけでなく、半円形のもの(毛抜堀)や円弧が重なって角状の溝になっているもの(薬研堀)などがある)。
名城40 として、全国の城の中からおすすめの40か所の見どころが挙げられている。もちろん天守がある城ばかりでなく、一乗谷のように遺跡といったほうがよさそうなところも含まれている。
2018-01-06
2015-02-03
豊臣家の人々, 司馬遼太郎
2015-02-03 読了 (2回目?)
中公文庫
「 新史太閤記」や「関ヶ原」「城塞」で豊臣秀吉とその周囲の人物を題材にとっているが、この作品は、それらでもほとんど触れられない人たちをメインにした連作短編集。さすがに淀殿は上記でも出てきていたが。解説にもある通り、大和大納言(秀長)と結城秀康が光る。
2015-01-18
軍師二人, 司馬遼太郎
新潮文庫
2015-01-17 読了 (2回目?)
戦国期を題材にした短編集。
雑賀党、織田家武士の浪費妻、徳川傘下の佐野綱正、関ヶ原の戦場の「歩き巫女」、姫路の医家の妻が旅先で一夜官女となる話、侍大将渡辺勘兵衛と藤堂家、古田織部正と鎌田刑部左衛門、後藤又兵衛と真田幸村。
2015-01-05
梟の城, 司馬遼太郎
新潮文庫
司馬氏の比較的若い時の作品だそうで、作中に作者がでてきたりといった、面白いが「余談」の部分はなく、まとまりをもった緊張感がつづく。
しかし、「気配を消す」とか、訓練によってできるようになるものだろうか。
2014-05-22
2013-09-14
国盗り物語 (1〜4), 司馬遼太郎
2013-09-14 読了 (4回目?)
前半が斉藤道三編、後半が織田信長編ということだが、後半はどちらかというと明智光秀が中心。「あとがき」に書いているように、当初は斉藤道三だけを書くつもりだったので「国盗り物語」というタイトルにしたようだ。太閤記の秀吉もそうだが、道三も、なんの足がかりもない美濃で、まさに徒手空拳でのし上がっていくところは爽快ですらある。追いやられた土岐氏にとってはとんでもないかもしれないが。
両者(道三と光秀)の描写のせいもあるだろうが、前半は、権謀術数のかぎりを尽くしているが、カラッとした印象。それに対して後半は、どうしても湿った感じを受ける。
2013-02-17
2013-02-02
花咲ける上方武士道, 司馬遼太郎
2013-02-02 読了 (図書館)
「武士道」というタイトルだが、主人公はお公家さん。右近衛少将藤原朝臣高野則近。この人が、京から江戸まで密命をおびてのぼっていく。さながら東海道中膝栗毛?
この作者の長編には、よく作者自身がゆかりの土地や子孫を訪れたりしたときの話が出てくることがあるが、この作品にはそういう部分が無かったので珍しいな、と思っていたら、結構初期の作品だったようだ。
新聞に連載していたようで、だいたい同じくらいの分量の章に分かれていて、それぞれの独立性が高い。いくつかの話は非常に良い所で終わっていて、続きが気になるほどだが、潔く(?)話は終わっている。もしかしたら、筆がのってきたところで規定の分量に達し、そこで話を終わらせた、ということが無かったとは言えないのではないか。
そういえば舞台は幕末。
2013-01-07
夏草の賦, 司馬遼太郎
2013-01-07 読了 (2回目?)
長宗我部元親の生涯。一兵卒や侍大将とは違う、大将に必要な素質が語られている。
高知は坂本龍馬だけに頼らなくても、こういう魅力的な人物や題材があるのでもっと有効活用すればよいと思うが。むしろ龍馬は高知ではあまりゆかりの場所がない気がする(脱藩の道とかかなり苦しいのでは)。
この作品もそうだが、司馬遼太郎の小説で最後が端折ったように感じられるものがあるが、もしかして、新聞で連載していた際に、あるところで連載を終わらさなければならなくなったために、端折らざるをえなくなったものか。
2012-08-16
世に棲む日日, 司馬遼太郎
2012-08-15 読了 (2回目?)
前半は吉田松陰、後半は高杉晋作。
このような英雄的な人物というのはどのようにして生まれるのか、というか、現れるのか、という点に興味がある。歴史・人物を網羅的・系統的に見たわけではないので分からないが、少なくとも、歴史小説の題材になるような人物は、天下泰平の時代には少ないように思える。
幕末に活躍し、名が残っている人物には傑出した人が多いように思われるが、それは幕藩体制から維新という時代の激動期に活躍したから名が残ったのか、それとも、そのような人物たちが現れたから時代が変化したのか。おそらく両方の要因があるだろうが。
高杉晋作が泰平の世の中に生まれて、クーデターを起こそうとしても、維新ではなく乱や一揆で終わってしまうかもしれない。しかし、例えば、アリの社会では、ある集団のなかから「働きアリ」を取り除くと、働かないアリだけになってしまうのではなく、残りのアリの中から働きアリが現れるという(ソースが見つけられないが)。
いわゆる「生き残りバイアス」があるのでマクロな?歴史の研究はなかなか難しそうだ。
マクロな歴史の研究というと、ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄 (Guns, Germs, and Steel)」が思い浮かぶ。
とりとめもなく。つれづれに。
それにしても、27歳でその生涯を終えるとは。そんな短い期間で歴史に残ることを成し遂げるということに驚く。