2026-08-15

Inner Views, Yuka Yanagihara Trio

2019年作品
2026-01-31 購入

柳原由佳のピアノトリオ編成の 2nd アルバム。曲調はバラエティがありながらも、このユニットの個性や特徴が感じられる作品。

個人的な白眉は何と言っても、5曲目の "Moon Dance"。イントロからドラマティックなコード進行とピアノのフレーズから始まり、「来たー!」という感じ。10分を超える大作だが、長さを感じさせないような曲展開で聴かせてくれる。語彙力がなくて情けないが、まさに「ドラマ」のよう。ボーナストラックとしてピアノソロバージョンも収録されている。

6曲目の "Silence" は 雑誌「ジャズ批評」の「ジャズオーディオ・ディスク大賞2019」のメロディ賞を受賞されたそうだ。曲名の通り(?)、ゆったりと静かな曲調だが、深みのあるメロディが特徴的な曲。YouTube でこの曲のスタジオ演奏を観ることができる。

4曲目の "Traffic Jam" はアップテンポでややはじけた曲。1stアルバムの "New York Breakfast" を思い出させるような、アルバムの中でのアクセント曲。7曲目の "Country Side" は(珍しく)メジャーキーの曲だが、サビは嬉しくなるような哀愁を感じさせるフレーズ。これらの曲以外はマイナーキーか。

このアルバムも、私的ヘビーローテーション中。どんな気分の時も聴ける。じっくり聴くと何度聴いても発見があるし、疲れたり気が立っているときに聴くと、心に平穏をもたらしてくれる。

2026-08-13

Embrace, Yuka Yanagihara with Yoshiki Yamada

2021年作品
2026-01-31 購入

目下のところ、私的ヘビーローテーションのアルバム。ピアノとベースというとてもシンプルな構成だが、非常に充実した音楽を楽しむことができる。

柳原さんの blog に制作の経緯が書かれているが、曲作りも録音も短期間で行われたという。そのせいかどうかはわからないが、収録されている曲は多彩でありつつ、なんとなく色合いというか雰囲気というか、共通点もあるような気がする。

どの曲もクオリティが高いが、まるでそれぞれの情景が目に浮かぶようだ。曲の受け取り方は人それぞれだろうが、私は、森の中の静かな池にさざ波がたつような風景や、雪や氷が融けるような情景などを思い浮かべた。

疲れた心を癒してくれる、養分のようなアルバム。かつ、自然の中に連れ出してくれ、いろいろな景色を見させてくれる。こんな素晴らしい音楽を世に出してくれたことに感謝。

2曲目 "Beyond the Milkyway", 9曲目 "Sunset Clouds" は山田吉輝の作曲,それ以外は柳原由佳。

1曲目の "Marlborough St." は、このアルバムのバージョンとは異なりドラムス入りのトリオ編成のバージョンを YouTube で聴くことができる。

2026-06-06

角田健一ビッグバンド結成30周年「無観客ライブ at 紀尾井ホール」, 角田健一ビッグバンド

2021年作品
2025-09-09 購入

角田健一ビッグバンドの、2020年12月5日のライブ盤。JAZZスタンダードを中心に、オリジナル曲 (Swing Express) も演奏。大編成ならではの迫力と、絶妙なアンサンブル、音楽の楽しさを味わわせてくれる。

とてもありがたいことに、この時のライブの映像の一部を YouTube で公開してくださっている (こちら, Sing Sing Sing, Apple Honey)。このまま DVD で販売できるような品質の映像と音質。音楽だけでももちろん素晴らしいが、映像があると、例えば、各ソロパートの際の他のメンバーの反応や、ソロのためにステージ前方に歩いていくところとか、メンバー間のアイコンタクトなどなど、とても興味深いシーンが見られてより楽しめる。なにより、おじさんたちが演奏を楽しんでいる様子が素晴らしい。

そもそも、私はまず YouTube でこのライブ動画を観てから CD を買ったのだが、そもそものそもそもは、ある吹奏楽の演奏会で「Sing Sing Sing」を聴き、Swing や JAZZ に興味をもち(それ以前からも多少は興味はあったが)、YouTube で様々なグループの「Sing Sing Sing」を観ていてこの角田健一ビッグバンドの動画に巡り合った。オリジナル (by Louis Prima) は 1936 年の発表というから 90 年も前の曲なのだが、全く古臭さを感じさせない。アコースティック楽器というところと録音の良さも要因としてあるだろうが、角田健一の独自のアレンジも効いているのだろう。

あまり関係ないけど、例えば「8時だョ!全員集合」とか昔のテレビ番組では、このようなバンドが生で出演して音楽を担当することが当然のようにあった。当時はそれが当たり前だったのだろうが、今から考えると、とても贅沢なことのように思える。

このライブは、新型コロナウィルス感染症流行のため無観客での開催となったそうだ。ミュージシャンや音楽に関わる方々はとても大変な時期を過ごされ、言葉もないが、このように素晴らしい企画・演奏で聴衆を楽しませてくださることに感謝しかない。今はまたライブコンサートなどの生演奏を楽しむことができるようになり、本当に幸せなことだ。感染症だけでなく、世の中の情勢次第では、自由に音楽を楽しむことができないような状況も想像されるが、ミュージシャンへの感謝・応援とともに、そのような不幸な状況を避けるために、日頃から気を付けられるところは注意・行動したいものだ。

2026-06-03

Live in Chamonix, Yuka Yanagihara

2024年作品
2025-12-17 購入

2023年4月にフランス・シャモニーの Maison des Artistes というライブハウス(?)での柳原由佳のピアノソロのライブ盤。ホールではなく(たぶん)50人規模の会場での、まさにライブな雰囲気が伝わる。

オリジナル (1, 3, 7) 含む 8 曲が収録。オリジナル曲の中では、個人的には 2 の "La vos del viento" と 7 の "さくら/Sakura (Cherry Blossoms)" に惹かれる(1 は即興的なイントロか?)。

"La vos del viento" はスペイン風というかフラメンコ風というか、雰囲気のある曲で、途中で Clapping も入る。個人的には、Antonio Lauro のクラシックギターの曲で "Vals Venezolano No.3" とかが思い出された(全然似ていないけど:他の曲と間違えているかもしれない)。この曲はソロピアノだけでなく、山本玲子 (vib)・相川瞳 (perc) とのユニット「MAGNOLIA」や、筒井裕之 (g) とのデュオのアルバムでも演奏されているが、メロディーの良さやテンポ感がダイレクトに伝わるのはこのピアノソロ・バージョンではないかと思う。

"さくら" は、歌曲「さくらさくら」を連想させるが、日本的なフレーズも交えながらのオリジナル曲。こちらは(も)メロディが非常に美しく、ダイナミックな展開のある曲。アーティストの YouTube チャンネルでも同曲(ただし日本の教会で録音された別バージョン)が楽しめる(YouTube動画)。

私がよく知っている Hard Rock / Heavy Metal のライブ盤の多くは、 MC も入っている。このアルバムには MC は含まれておらず、個人的にはそこだけが少し残念な気もする。まあ些末な点だが。そのおかげで曲に集中できるという利点もあるかも。

2026-04-26

マスカレード・ゲーム, 東野圭吾

集英社文庫
2026-04-26 読了

まだまだ続く、マスカレードシリーズ。第4作目の本作も、やはり舞台はホテル・コルテシア東京。 シリーズ物の魅力の一つは、おなじみのキャラクターが登場し、本題とは別に、メタなストーリーも進行するところ。 本作でも新田や山岸が活躍する。 新たなキャラも登場。 メタストーリーでは、最後に新たな展開があった。(公式サイトで先に見てしまったが...)

ハラハラ、ドキドキ度(? 登場人物が危ない目にあいそうになったり)は、これまでほどではない気がするが、個人的にはそういうドキドキはしたくないので、ちょうどよい。

2026-02-11

ω城の惨劇, 森博嗣

2026-02-11 読了
講談社文庫

長く続いた「Gシリーズ」の最終巻(?)。しかし単行本は2022年に「オメガ城の惨劇」という題名で、ノンシリーズとして出版されていたらしい。 そもそも G シリーズでは、途中まで、西之園萌絵やその学生たちが中心に描かれていたが、彼らは本作では登場しない。とはいえ懐かしい名前もちらほら登場する。そこが楽しい。

それにしても本当に G シリーズ完結なのか? これまでの話で回収されていない伏線があるような、ないような。まあ勝手にそう思い込んでいただけかもしれない。

2026-01-10

マスカレード・ナイト, 東野圭吾

集英社文庫
2026年1月10日 読了

ホテルの「マスカレード・ナイト」というイベントに乗じた事件のストーリー。すべてが綿密に計算されている。最終的な犯人も、伏線としてきちんと登場している。 ホテルだから、いろいろな客が出入りしており、いろいろな挿話があるのだが、微妙にいろいろ絡み合っていて、事件に全く関係のない話はなさそうだ。なかなかの長編だが、一気に(といっても、そんなまとまった時間は無かったが)読んでしまった。

2026-01-01

マスカレード・イブ, 東野圭吾

集英社文庫
2026年1月1日 読了

登場人物は前作と一部重なる。 ちょっと短編集のような雰囲気があるが、最後(?) 本編(?) のプロローグ的な位置づけかもしれない。それでもしっかりとオチがある。 本編ももちろん面白いが、個人的には「仮面と覆面」が良かった。

2025-12-21

マスカレード・ホテル, 東野圭吾

集英社文庫
2025年12月21日 読了

ほぼ、あるホテルの中だけでストーリーが進む。物語の中で進む時間も、1週間程度だろう。

あらすじはネタバレになるので書かないが、いろいろな読み方ができる小説と感じた。 ミステリー小説として、犯人が誰かを考えたり、トリックを考えながら読むのももちろんありだろう。 個人的には、メインのストーリはもちろん、登場人物の人となりを示す挿話も、そのまま流れに身をまかせて、展開を楽しみながら読み進めるのが心地よかった。

2025-05-29

宙わたる教室, 伊与原新

文芸春秋
2025年5月29日読了

ネタ(定時制高校での実験内容など)は、実際のモデルがあるようだが、とにかく面白い。小説では定番の学園ものではあるが、それほど学生をその気にさせる先生の力量というものにも感服する。また、単なる学園ものとしても楽しめるが、研究の試行錯誤を追体験するとか、純粋にそんな実験ができるのか・あるのかという好奇心などがかきたてられる。

2025-04-11

月まで三キロ, 伊与原新

新潮文庫
2025-04-11 読了

本屋で平積みになっていたのをたまたま見かけ、開いて読み始めたら、先が気になり、買って読んだ。

単行本は2018年に出版されているようだ。短編集。帯には「泣ける話」みたいなことが書かれていたように思うが、表題作の「月まで三キロ」は確かにしんみりする。詳しくはネタバレになるので書かないが、月が子どもみたい、というのは、説明されると確かに納得させられる。

どの話も、科学に関する話題が練りこまれていて、濃淡はそれぞれだがうれしい感じがする。「エイリアンの食堂」では、つくば市の高エネルギー加速器研究機構が出てくる。世界で一番小さいものを研究していると同時に、世界で一番大きなものを研究しているということにもなる、という言葉が印象に残った。

ほかの本も読みたくなった。

2025-01-04

プレミアリーグサッカー戦術進化論, Michael Cox (著), 田邊雅之 (訳, 著)

二見書房
2025-01-04 読了

The Mixer: The Story of Premier League Tactics, from Route One to False Nines

オリジナルの英語版は2017年に出版されているが、そちらは全25章で 2016/17 シーズンまでの話をカバーしているようだが、この日本語版では第26章で 2017/18 の Manchester City が取り上げられているほか、第27章と補章を田邊さんが担当し、第27章では 2018/19 シーズンとイングランド代表の活躍までカバーし、補章ではプレミアリーグ(というかイングランド)に挑戦した日本人選手について触れられている。もっとも、この本が出版されたのが 2019 なので、当然そこまでの話題。

読んだ印象としては、邦題の「戦術進化論」というのはやや大げさな感じがする。原題にあるように「Story of Premier League Tactics」というのが良い気がした。戦術に注目してプレミアリーグの 25 年の歴史をたどっていく、というような感じ。

それにしても、サッカーの世界は、プレミアリーグだけに限らず、ほかの主なリーグはどこでも、変化が速いと感じる。1シーズン中に何度も監督を交代させるチームも珍しくない。その大きな理由の一つはおそらく、成績が悪いと下位のリーグに降格してしまう(そうするとクラブの財政も厳しくなる)ということがあるようにおもう。そう思うと、Sir Alex Ferguson や Arsène Wenger みたいに 20 年以上も同じチームを指揮し続けるというのは、奇跡のように思われる。

2024-10-15

塞王の楯, 今村翔吾

集英社文庫
2024-10-15 読了

主に大津城を舞台に、石垣のプロ集団の穴太衆と、同じく技能集団である国友衆(鉄砲)との戦いを主軸にした物語。特に穴太衆については、石を積むというところに注目しがちだが、石場で石を切り出し、それを必要な場所まで運搬することも、劣らず重要ということと、技術の話なので、ある程度定量的な記述があるのが、少なくとも私の読んだことがある歴史小説にはほとんど見られないものだったので、新鮮に、また、好ましく感じた。

下巻で戦の場面になると、なんというか、やや人間離れしたような感じになり、宮部みゆきでいうところの超能力者とか、歴史小説では忍者物のような感じになり、やや現実離れした印象を受けた。

それにしても一気に読まされてしまった。舞台となったところ(大津城はほとんど残っていないようだが)など訪れてみたい。

2023-06-18

3.11大津波の対策を邪魔した男たち; 島崎邦彦

青志社
2023-06-18 読了

政府の地震調査委員会や原子力規制委員会などでも要職を務めた著者が、地震調査委員会長期評価部会長として関わった、「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」などの話と、そこで挙げられた津波地震を都合の悪いものとして考慮したくなかったと思われる、東電など原子力業界の(著者から見た)動きが、描かれている。

通常は表に出ない、役人らの実名も挙げられていて興味深い。やや残念なのは、「原子力ムラ」という言葉で関連業界・行政を表現していること。まあ著者の側はそちらではないので、そちらの内側の記述が相対的に少ないのはやむを得ない。

2023-01-22

デセプション・ポイント; Dan Brown (著),  越前敏弥 (訳)

角川文庫 2023-01-22 読了(図書館)

ダン・ブラウンが2001年に発表した小説。アメリカ・ホワイトハウスや NASA, NRO (国家偵察局) など、またまた実在の組織が舞台・題材になっている。

ストーリーは、ネタバレになるので詳しくは書かないが、かなり強引な設定で進む印象。そして、ほとんどお約束の黒幕。それでも話に引き込まれ、続きが気になり、なかなかやめられない。この作者のほかの作品と同様、スリルというか、危機的な状況が何度も訪れ、私のような心臓の弱い(?)読者には刺激が強い。

キーワードとしては、隕石、地球観測衛星、化石、沈み込み、マグマ、などなど、個人的になじみのある分野が扱われている。隕石や化石に詳しいわけではないが、設定としてはまあ悪くないかな、という感じ。一方、軍事技術、航空機、推進機構などは、現在(といってもこの小説が書かれたのは20年以上前だが)存在しているとは思いにくいものが結構出てくる。本の最初に「この小説で描かれる科学技術はすべて事実に基づいている」とあるが、まあそれをどこまで真に受けてよいのかはわからない。

2023-01-03

傑作! 巨匠たちが描いた小説・明智光秀; 吉川英治, 池波正太郎, 山田風太郎, 柴田錬三郎, 井上靖, 海音寺潮五郎

宝島社文庫
2023-01-03 読了 (図書館)

6人の作家による、明智光秀が出てくる短編小説集。しかしその作風はそれぞれ異なり、海音寺潮五郎の「明智光秀」は小説というより、作者自身が「ぼく」として登場し、自分の考えを述べる文章。吉川英治「茶漬三略」は明智光秀というより豊臣秀吉が主役。池波正太郎「鬼火」は本能寺の変に巻き込まれた忍者が主役。山田風太郎「忍者明智光秀」はそのタイトルの通り、設定がかなり特異。柴田錬三郎「明智光秀」も本能寺の変とそれに関わるというか、裏で筋書きを描いた忍者の話。井上靖「幽鬼」は、光秀が攻めた波多野氏の悲劇と本能寺の変。

一口に歴史小説と言っても、もっともらしい史実を下敷きにして話を作るだけでなく、かなり荒唐無稽な設定に仕立て上げるものもある幅広い・自由なものであるということが分かった。

2022-12-28

信長街道, 安部龍太郎

新潮文庫
2022-12-28 読了 (図書館)

以前読んだ、安部龍太郎「信長はなぜ葬られたのか」と同様、小説ではなく、著者による、信長の歴史の謎に対する探求の記録。実際に歴史の舞台になった地を訪れ、考えを深めていく。

個人的に新しい観点と思ったのが、信長とイエズス会との関係、ひいては西洋文明との対峙という視点。ルイス・フロイスらが有名だが、著者の言を借りれば、「宣教師は正義の天使でもサンタクロースでもない」。著者の推理によれば、信長は宣教師たち(もしくは同行の技術者)から西洋の技術(例えば造船)を得た見返りに、明(中国)へ攻め入ることを約束させられていたのではないか、という。それがそのままではないにせよ、宣教師たちはなにか要求があってわざわざ信長のもとを訪れたのだろうから、単に布教の自由を求めたというだけでなく、なんらか見返りを求められていたというのはありそうに思える。

そのような背景を考えつつ、本能寺の変など、さまざまな出来事を見直せば、かなり見え方が変わってくる。これは日本史だけ勉強していてもだめだろう。

2022-12-10

ダ・ヴィンチ・コード ヴィジュアル愛蔵版, Dan Brown (著),  越前敏弥 (訳)

角川書店
2022-12-10 読了 (図書館)

「ダ・ヴィンチ・コード」の小説だが、作中に登場する絵画や場所、地図などが掲載されているので、私のようにインターネットでどんな場所・絵かすぐに調べたくなる人には非常に良い企画。

小説は、前回読んだのが15年(以上)前のはずで、ほとんど覚えていなかった。おかげで新鮮な気持ちで読めてよかった。 記憶の中では、もっといろいろな謎が出てきたようにも思ったが、謎解きと言えるのは、作中の重要人物のジャック・ソニエールが仕掛けたものが大半で、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の解釈程度。「モナリザ」も出てくるが、ラングドン教授が講義で説明する程度。本作を貫く主要なテーマではある。

「天使と悪魔」の展開とやや似た部分もある。気味の悪い殺人者の存在がずっとちらついていたり、黒幕、作中での時間の短さ(今回は2~3日?)などなど。スピード感が感じられ、これはこれで非常に効果的。ただ展開がかなり強引に感じた。

現地に行ってみたいものだ。

2022-11-19

ANGELS & DEMONS (天使と悪魔), Dan Brown, 越前敏弥 (訳)

角川文庫
2022-11-19 読了 (図書館)

「ダビンチ・コード」で有名な作者による「ラングドン」シリーズの第一作らしい。といっても私は「ダビンチ・コード」しか読んだことが無いので良く分からない。

この作品はイタリア・ローマが主な舞台で、名所がたくさん出てくるので、なんか親しみがある。ローマには一度だけ行ったことがあり、訪問したことのある場所もいくつか出てくるので、なにか親しみがわく。また、訪問しなかったところが出てくると、ちょっと残念な気分になる。google map の street view などで小説の舞台になっている場所をついつい見て確認したくなる。

肝心の小説の中身は、ミステリなので、例によって詳しく触れるのはやめておくが、「ダビンチ・コード」ほどは謎解き要素が少なく、前半部などむしろホラー的な部分もある(とはいえホラー小説と呼ばれるものをほとんど読んだことが無いので、そうは言わないのかもしれないが)。話の展開がスピーディで、はじめから映画化を狙っていたようにも思える。

「ダビンチ・コード」を読んだのはもう10年以上前なので、また機会があったら読み直してみたい。それにしても、ラングドン教授は不死身だなあ。

2022-11-06

「役に立たない」科学が役に立つ, Abraham Flexner, Robbert Dijkgraaf, 初田哲男(監訳), 野中香方子(訳), 西村美佐子(訳)

The Usefulness of Useless Knowledge
東京大学出版
2022-11-07 読了 (図書館)

プリンストン高等研究所の初代所長 (Abraham Flexner) と、前所長かつオランダの現教育・文化・科学大臣 (Robbert Dijkgraaf) が著している。もともと Abraham Flexner が書いたエッセイに Robbert Dijkgraaf が解説のようなエッセイを追加で書いたようだ。

内容は、なんというか、タイトルの通り。日本で、歴代のノーベル賞受賞者が、機会あるごとに基礎科学研究の重要性を述べているが、日本の高等教育・科学技術行政は「選択と集中」というスローガンに代表されるように、役に立つ・応用に直結する研究が求められ、基礎研究というか研究の多様性を守る・育てるというような政策は顧みられていないように思える。そのようなことは日本だけかと思ったが、世界を代表する米国の研究所の所長経験者も、それぞれの時代の風潮を感じてこのような文章を書いているほどだというのには、やや驚いた。

両方の文章にはそれぞれ著名な科学者・発明家などが多数挙げられ、多くの場合、役に立つことを目指して研究していたわけではなく、それぞれの精神・好奇心の導くままに探求した成果だということ、また将来どのような応用につながるかを見通すことは困難だということ、が繰り返し述べられている。もっとも、今わからなくても将来何かに役立つから基礎研究が重要なのだ、と言っているわけではなく、研究というものは精神の自由な思考・試みのもとでないと真に新しいことはできないからだ、というようなことが書かれていた(かなりうろ覚えなので文言は不正確)。