SBクリエイティブ (2015)
「数学ガールの秘密ノート」シリーズ。「数学ガール」シリーズよりは、やや平易な内容というか題材を選んでいるように感じる。「数学ガール」シリーズ(といっても2冊しか読んでいないが)も式の展開は非常に丁寧で、1つ1つ追っていけば理解できるのはこの本も同じ。微分という概念を分かりやすく導入している。
そうはいってもそれだけでは終わらず、「パスカルの三角形」とか二項定理とか、ネイピア数 (e) とかが表れ、それらが関連していて面白い。
「数学ガールの秘密ノート」シリーズ。「数学ガール」シリーズよりは、やや平易な内容というか題材を選んでいるように感じる。「数学ガール」シリーズ(といっても2冊しか読んでいないが)も式の展開は非常に丁寧で、1つ1つ追っていけば理解できるのはこの本も同じ。微分という概念を分かりやすく導入している。
そうはいってもそれだけでは終わらず、「パスカルの三角形」とか二項定理とか、ネイピア数 (e) とかが表れ、それらが関連していて面白い。
高校生への講義の記録。現実世界のさまざまな問題解決に、数学を用いるということを、実例を示しながら解きほぐしてくれる。
西成先生は「渋滞学」で有名だが、そのエッセンスもわかる。もっとも渋滞の問題に関してはまさに「渋滞学」を読んだほうが良い。ここで扱われているのは、東京マラソンのように大勢のランナーが出場するマラソン大会があるとして、出場者全員がスタート地点を短い時間で通過するためにはどうすればよいか、という問題を、その本質を抜き出す単純化・理想化と、そこで働くメカニズム(前の人が動かないと自分が動けない、前に動いたという情報が後ろに波のようにある速度で伝わっていく、など)を数式で表し、それを解く作業。もう少し解説があった方が分かりやすいとも思うが、とにもかくにも、現実の問題を、数理を使って最適化できるという、その一連のながれを体験することができる。
高校生くらいの時にこのような講義を体験するのは、非常に良い経験になると思う。一方で、講義をする方は、準備や教える力など、相当大変な感じ。
キーワードは「可塑性」。
脳の神経細胞は年を取るごとにどんどん減っていくと言われるが、だからといって能力が衰えるわけではなく、「あるものとあるものとのあいだにつながりを感じる能力」は30歳を超えた時から飛躍的に伸びる、という話は生きる気力がわくし、まだまだ勉強しようという気にもなるし、とにかく非常に素晴らしい。
脳の性質を知ることで、ちょっとした生活・仕事のハウツー的な知識も得られる。以下、ほぼ引用。
文庫版の追加対談にもドキッとすることが書かれていた。
糸井: ほんとうにすべての可能性を考えながら生きていたら、きっと発狂しちゃいますよね。だから「わかっている範囲」を中心に暮らしているわけですけど、世界が「わかっている範囲」でしかないと思うのは、やはり傲慢だと思うんです。
池谷: それはまさに科学者が忘れてはいけないことのひとつです。(中略)どんなものでもそうなのですが、システムは階層的になっていて、その階層ごとに真実があって、しかもそれが相互に影響を与えているんです...
先代高砂親方・元大関朝潮の「親方論」(?)
2008年7月の発行。朝青龍が不祥事で2場所出場停止処分をうけた年の次の年。まだバリバリの現役横綱だったころ。その不祥事の記憶がまだ新しいころに書かれた。そのせいかどうか、一章は朝青龍の写真とその騒動の話からはじまる。当時、マスメディアなどでは朝青龍だけでなくその師匠の著者もさんざん叩かれたが、叩かれた側の事情・言い分もわからないではない。朝青龍は治療などのため巡業を休んでモンゴルに帰国していたが、地元では当然ながら有名人で、
「日本の外務省を通じてモンゴル政府からの要請があり、友好のためにやった」
「当初はイベントでTシャツを配るだけの予定だったが、周囲に乗せられ痛みを押してほんの短時間サッカーをやった」
ということのようだ。そういわれると、そこまで厳しい処分を受けることだろうか、という気がする。そもそも巡業をけがの治療で休んだのは正当だろう。いまはコロナ禍で巡業どころでないし、個人的には巡業は日本相撲協会としての収益事業で、それが力士の仕事と言われればそれまでだが、年6日(90日間)ある本場所が終わったとたんに、毎日長距離移動をともなう巡業にでなければならないとなると、休む間もなく気の毒に思っていた。
親方論というか弟子の指導に当たっての考え方は興味深い。相撲の親方だけでなく、後輩や部下などの指導・教育は、手取り足取りやればよいかと言えば、自分で考える力が養えないし、さりとて放任でよいかといえば、素質があっても伸びない可能性があり、正解はなく、その加減も難しい。この本でも、相手の素質や性格などによって指導法を変える、というようなことが書かれていた。
3章では、2007年の時津風部屋新弟子急死事件の話から始まり、「角界の流儀」が語られる。ここの話の一部については同意できない。ほかの箇所では、時代によって弟子の気質などが変わってきているので、昔ながらの部屋の雰囲気や稽古内容ではだめで変えていかなければならない、というような真っ当なことを書いているのに、この部分では、この事件で協会理事長の責任を問うような報道などに対して、協会や相撲部屋の組織の説明をするだけで、その組織構造の問題が問われているという自覚が無いようだ。
私は、相撲という伝統的な競技が好きだし、その伝統も大切だと思っているが、それと法人としての日本相撲協会やそれにぶら下がっている相撲部屋という組織の伝統は別問題だと考えている。貴闘力が自身の YouTube 番組で指摘している通り、その組織には非常に問題が多く、「年寄株」「お茶屋」「八百長」などの例を挙げるまでもなく、改善すべきと思う。相撲部屋にいったん入門したら力士の都合では部屋を変われないなんて、親方の都合でしかない。相撲部屋という制度も特に必要とは思わない。
そんな朝潮さんも定年で師匠としては引退された。人柄がよく出ている本だった。
ソフトバンククリエイティブ
2021-05-08 読了 (図書館)
タイトルからは、乱数を生成するアルゴリズムについてかな、と漠然と思っていたら全然違った。乱数を使ったアルゴリズム(自信なし)という感じか。 主たる内容は、ソートのアルゴリズムの解析で、その実行回数の期待値を数式で表したり。かなり式変形も出てくるが、途中を省略せず解説してくれているので、まあ話の内容をフォローする程度にはついていける。(全てをきちんとフォローしたわけではないが)
さりとて、アルゴリズムの話ばかりでもなく、途中では行列の話が出てくる。連立方程式との関係とか、写像とか。個人的にはその部分も非常にためになった。 数学はやや苦手意識があるが、しかしこのシリーズのおかげで非常に豊かな内容を持っているということも気づくことができたので、別の巻も読んでみたい。
2021-03-13 読了(図書館)
廣済堂新書
Ray Kurzweil などによって言われている技術的特異点の話。
SF映画などで描かれてきた知能を持ったコンピュータが実現したあかつきには「特異点」となり、それより未来は予測不能という予測を、著者自身の長年のコンピュータとのかかわりあいなどの話も織り交ぜ、紹介していく。
確かに、コンピュータの進歩は、ムーアの法則で知られるように、その性能を指数関数的に向上させてきた。また、「AI」「人工知能」という言葉を見ない日はないくらい、技術開発がどんどん進んでいるようだ。ただ素人目には、コンピュータが高性能になっても計算速度が速くなってきたということで、その本質は変化していないように思う。いまの多くの「AI」も、知る限りでは機械学習というべきもので、そこに独自の意識が出現するというものとは違うように感じる(知らないだけかもしれないが)。
余談だが、AIと聞いて思い出すのは、ひと昔まえ(ふた昔?)、ATOK (ジャストシステムのかな漢字変換ソフト)が、使用者の入力内容を学習し、変換候補を入れ替えて提示してくれる機能を「AI 変換」とか呼んでいた気がする。
そうはいっても、コンピュータに意識を出現させる、ということをまじめに研究している人たちは必ずいるだろうし、たとえ機械学習と呼ぶべき技術だとしても、その精度や応用範囲は日進月歩で進んでいるので、いつかは実現するのかもしれない。
本当にその日が来たら、多くの識者が指摘するように、なかなか人類にとってポジティブな未来は考えにくい気がする。
ローマクラブの「成長の限界」の話も取り上げられている。これまたかなり昔に、この話をきいたことがあったはずだが、その言葉自体忘れていて、懐かしく感じてしまった。
最後の方で、著者は、この成長の限界を打破するために、上記の技術的特異点を目指した「ゴッド・ライク・マシン」に賭けるしかない、と書いている。最後には、政治的な選択もおおくをコンピュータに任せる世の中もあるのでは、と提案というか妄想されている。その点だけ見れば、権力者が特定の利益集団にのみ配慮したような政策をとるのでなく、ベターな、最大多数の最大幸福を満たすような政策をとる方向に行くかもしれない。
Albert Einstein and Relativity for kids -his life and ideas with 21 activities and thought experiments, Jerome Pohlen 2021-02-20 読了(図書館) 丸善出版
図書館の子供向けの棚でたまたま手に取って読んでみた。そもそもの動機は、相対性理論のことが子供向けに解説されているのであれば面白い・理解の助けになるかもしれない、というものであった。しかし読み始めてみると、確かに彼の提案した数々の理論についての解説もあるが、それよりも伝記というのが一番近いだろう。
とにかく波乱に満ちた生涯というしかない。暮らした国だけでも、ドイツ、イタリア、スイス、現在のチェコ、アメリカ合衆国。そして2度の世界大戦が彼の生涯に大きな影響を及ぼしている。
相対性理論のことは分かった気になることも難しいが、彼が平和主義者で自由主義者、しかもその信念に従って行動を続けたということは非常に印象深い。
以下、気になる部分のメモ。