文芸春秋
2025年5月29日読了
ネタ(定時制高校での実験内容など)は、実際のモデルがあるようだが、とにかく面白い。小説では定番の学園ものではあるが、それほど学生をその気にさせる先生の力量というものにも感服する。また、単なる学園ものとしても楽しめるが、研究の試行錯誤を追体験するとか、純粋にそんな実験ができるのか・あるのかという好奇心などがかきたてられる。
文芸春秋
2025年5月29日読了
ネタ(定時制高校での実験内容など)は、実際のモデルがあるようだが、とにかく面白い。小説では定番の学園ものではあるが、それほど学生をその気にさせる先生の力量というものにも感服する。また、単なる学園ものとしても楽しめるが、研究の試行錯誤を追体験するとか、純粋にそんな実験ができるのか・あるのかという好奇心などがかきたてられる。
本屋で平積みになっていたのをたまたま見かけ、開いて読み始めたら、先が気になり、買って読んだ。
単行本は2018年に出版されているようだ。短編集。帯には「泣ける話」みたいなことが書かれていたように思うが、表題作の「月まで三キロ」は確かにしんみりする。詳しくはネタバレになるので書かないが、月が子どもみたい、というのは、説明されると確かに納得させられる。
どの話も、科学に関する話題が練りこまれていて、濃淡はそれぞれだがうれしい感じがする。「エイリアンの食堂」では、つくば市の高エネルギー加速器研究機構が出てくる。世界で一番小さいものを研究していると同時に、世界で一番大きなものを研究しているということにもなる、という言葉が印象に残った。
ほかの本も読みたくなった。
二見書房
2025-01-04 読了
The Mixer: The Story of Premier League Tactics, from Route One to False Nines
オリジナルの英語版は2017年に出版されているが、そちらは全25章で 2016/17 シーズンまでの話をカバーしているようだが、この日本語版では第26章で 2017/18 の Manchester City が取り上げられているほか、第27章と補章を田邊さんが担当し、第27章では 2018/19 シーズンとイングランド代表の活躍までカバーし、補章ではプレミアリーグ(というかイングランド)に挑戦した日本人選手について触れられている。もっとも、この本が出版されたのが 2019 なので、当然そこまでの話題。
読んだ印象としては、邦題の「戦術進化論」というのはやや大げさな感じがする。原題にあるように「Story of Premier League Tactics」というのが良い気がした。戦術に注目してプレミアリーグの 25 年の歴史をたどっていく、というような感じ。
それにしても、サッカーの世界は、プレミアリーグだけに限らず、ほかの主なリーグはどこでも、変化が速いと感じる。1シーズン中に何度も監督を交代させるチームも珍しくない。その大きな理由の一つはおそらく、成績が悪いと下位のリーグに降格してしまう(そうするとクラブの財政も厳しくなる)ということがあるようにおもう。そう思うと、Sir Alex Ferguson や Arsène Wenger みたいに 20 年以上も同じチームを指揮し続けるというのは、奇跡のように思われる。
青志社
2023-06-18 読了
政府の地震調査委員会や原子力規制委員会などでも要職を務めた著者が、地震調査委員会長期評価部会長として関わった、「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」などの話と、そこで挙げられた津波地震を都合の悪いものとして考慮したくなかったと思われる、東電など原子力業界の(著者から見た)動きが、描かれている。
通常は表に出ない、役人らの実名も挙げられていて興味深い。やや残念なのは、「原子力ムラ」という言葉で関連業界・行政を表現していること。まあ著者の側はそちらではないので、そちらの内側の記述が相対的に少ないのはやむを得ない。
角川文庫 2023-01-22 読了(図書館)
ダン・ブラウンが2001年に発表した小説。アメリカ・ホワイトハウスや NASA, NRO (国家偵察局) など、またまた実在の組織が舞台・題材になっている。
ストーリーは、ネタバレになるので詳しくは書かないが、かなり強引な設定で進む印象。そして、ほとんどお約束の黒幕。それでも話に引き込まれ、続きが気になり、なかなかやめられない。この作者のほかの作品と同様、スリルというか、危機的な状況が何度も訪れ、私のような心臓の弱い(?)読者には刺激が強い。
キーワードとしては、隕石、地球観測衛星、化石、沈み込み、マグマ、などなど、個人的になじみのある分野が扱われている。隕石や化石に詳しいわけではないが、設定としてはまあ悪くないかな、という感じ。一方、軍事技術、航空機、推進機構などは、現在(といってもこの小説が書かれたのは20年以上前だが)存在しているとは思いにくいものが結構出てくる。本の最初に「この小説で描かれる科学技術はすべて事実に基づいている」とあるが、まあそれをどこまで真に受けてよいのかはわからない。
宝島社文庫
2023-01-03 読了 (図書館)
6人の作家による、明智光秀が出てくる短編小説集。しかしその作風はそれぞれ異なり、海音寺潮五郎の「明智光秀」は小説というより、作者自身が「ぼく」として登場し、自分の考えを述べる文章。吉川英治「茶漬三略」は明智光秀というより豊臣秀吉が主役。池波正太郎「鬼火」は本能寺の変に巻き込まれた忍者が主役。山田風太郎「忍者明智光秀」はそのタイトルの通り、設定がかなり特異。柴田錬三郎「明智光秀」も本能寺の変とそれに関わるというか、裏で筋書きを描いた忍者の話。井上靖「幽鬼」は、光秀が攻めた波多野氏の悲劇と本能寺の変。
一口に歴史小説と言っても、もっともらしい史実を下敷きにして話を作るだけでなく、かなり荒唐無稽な設定に仕立て上げるものもある幅広い・自由なものであるということが分かった。